「au大規模通信障害」はKDDIだけの問題ではない 輻輳を防ぐための技術基準見直しも必要か?
記者会見はこの作業が進められている11時から2時間以上をかけて行われたため、まだ不明な点は多い。たとえばVoLTE交換機が収容された設備のルーターがフォールバックされた後に、各端末がどのように振る舞い、それがシステムにどのような影響を与えたのかなど、輻輳に至る核心は不明なままだ。
輻輳を防ぐための技術基準見直しも必要か?
復旧作業が終了したとはいえ、4日午前、本記事を執筆している時点では、まだ着信できない状態の利用者も残っている。3900万回線を超える加入者DBを管理するPWGは東日本に9台、西日本に8台あり、それぞれのデータ不一致解消の確認は行われたが、今度は大量の回線が接続された状態に戻していかねばならない。このため現在でも収容量を50%に制限している状況だ。
KDDIは問題なくシステムが稼働していることを確認しながら戻していき、完全にネットワークの稼働が正常に戻った段階で100%に戻す予定とのことだ。
これだけの規模の問題だけに、KDDIの責任は逃れられないと言えるが、一方で現代の移動体通信システムが極めて複雑で、単純な設備容量の増強だけでは対応できないことも見え始めているのではないだろうか。
今回、障害の原因となったVoLTE交換機だが、約10年前となるVoLTE導入時の総務省情報通信審議会では、音声通話システムをデータ通信に置き換える際、端末側にどのような技術基準を求めるかなどが議論されていた。
というのも、当時、ひかり電話など固定系IP(インターネットプロトコル)電話で、障害復旧時に一斉に識別情報を加入者DBに登録し始めることを防ぐよう、端末側にも輻輳対策が求められていた。VoLTEはIP電話の仕組みを携帯電話のデータ通信網で実現する技術だが、携帯電話の場合は基地局側から端末に対して発信規制する仕組みがあるため、あらためてVoLTE向けに対策する必要はないとの意見がNTTドコモやKDDIなどから出されていた。
今回の事故との直接的な因果関係は判別できないが、単純なVoLTE交換機へのアクセス集中だけならば、ここまでの事故には至らなかっただろう。今回の障害の分析結果を待って、あらためて業界全体で端末への技術基準も含めた再議論が必要かもしれない。
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