「au大規模通信障害」はKDDIだけの問題ではない 輻輳を防ぐための技術基準見直しも必要か?
データ通信を司るコアネットワークには問題がなかったため、端末によってはデータ通信は引き続き可能であり、LINEなどのアプリを通じて通話ができていたようだ。
時間帯によっても状態が異なっていたようだが、iPhoneの場合、アンテナピクトの表示がない場合でもデータ通信ができていたが、Android端末の中にはVoLTE交換機との接続が確立できない場合、データ通信が行えない作りになっていたため、通話、データ通信ともに使えなくなっている端末もあった。
しかし、この障害の影響はスマートフォンのユーザーだけではない。
物流システム、コネクテッドカー、気象観測センサー、銀行のATM、一部空港におけるスタッフ用無線機なども使えないケースが出るなど、社会インフラ全体に与えた影響は大きい。
もちろん、KDDIへの責任追及は免れないだろう。しかし、障害発生から拡大に向かった経緯を追いかけてみると、問題はKDDIのシステムだけではないとも思える。
大規模障害が起きる原因となった最初の輻輳(ふくそう)が発生する可能性については、VoLTEが導入される頃に議論されていたテーマだった。
携帯電話サービスを提供する側だけで対応できるのか。輻輳を防ぐための予備的な検討が、約10年前に検討されていたVoLTE導入時の端末設備等規則を決める際、十分な議論がされていなかった可能性もある。
障害発生プロセス、判明していること
障害発生のトリガーとなったのは、多摩にあるKDDIのネットワークセンターにあるルーター(データ通信網との接続を仲介する装置)が機能しなかったことだ。KDDIは全国6拠点にネットワーク設備を構え、18台のVoLTE交換機が稼働しているというが、多摩のネットワークセンターはその一つで関東地区のサービスを提供している。
定期メンテナンスでこの中のルーターを交換したところ、その設定あるいは機器そのものに問題があり、データ通信サービスを提供するコアネットワーク側からVoLTE交換機に接続できない状態になった。
これが2日午前1時35分ごろのことだ。
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