筆者は日本とアジアにおいて、若者の価値観やライフスタイルの研究を行っていますが、ここ数年、強く感じることがあります。それは、日本以外のアジア各国で、「韓流」が『ブーム』から『定着』に完全に移った、ということです。
日本では日韓関係のこじれも影響してか、以前よりは韓流ドラマや韓流アーティストをメディアで目にしなくなっているので、韓流ブームを一過性のもの、過去のものととらえている方も多いと思います。
ところが、アジア各国で若者たちとインタビューすると、たとえば、超親日エリア・国である台湾やタイでも、意外な声を聞くようになりました。筆者はアジア各国で現地の若者たちを現場研究員として組織し、彼らと協同して若者研究を行っているのですが、彼らからじかに聞く日本、また韓国の印象が以前とは大きく変わっているのです。
たとえば、台湾の女子高生に「日本ファンと韓国ファン、あなたのクラスではどちらが多い?」と聞くと、「日本ファンってママの世代の話でしょ?」などと切り返されてしまったりします。
また、バンコクの女子大生に「知っている日本人は?」と聞いてみると、「知っている日本人はいませんが、知ってる韓国人だったらたくさんいます。私は韓流は好きじゃないけど、イ・ミンホと少女時代と東方神起だったら皆が知っていますよ」と言われる……といった具合です。
より親日度合いが低い他のエリアや国であれば、なおさらこうした傾向が強く出ることが多くなっています。
もちろん、アニメや車、日本食といったのように、いまだに大きな存在感を保っているものもたくさんあります。しかし、日本が掛け声にしている「クールジャパン」はさほど浸透しておらず、少なくともアジア全域の若者の間では、「クール」という言葉は「韓流」にとられかけてしまっているのが実情です。
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