「投資をする親子」としない親子の決定的な差 「未成年口座」で「格差」はますます開いていく

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子ども手当などについても、目先のことに使ってしまうのではなく、未成年口座で投資信託を買うことで、より大きく増やせる可能性が高まります。

中には、子どもが成人しても、親がそのまま管理・運用を続け、ある程度の収入を子どもが得るようになったころに渡したり、自分がこの世を去る間際に遺産がわりに渡したり……というケースもあるかもしれません。もし、未成年口座で0歳から60歳まで月に1万円、利回りが6%の投資信託を購入し続ければ、積立総額720万円に対し、運用総額は約7000万円。6000万円以上の運用益が手に入ります。もし、月2万円なら、積立総額約1400万円に対し、運用総額は約1億4000万円。

親がコツコツと買い続けてきた投資信託を受け継ぎ、投資を続ければ、贈与税、相続税がかからない大きな資産を手にすることができるのです。

そんな経験をした世代が親になったときには、子どものために、さらに多くのお金を投資するようになるでしょうから、みなさんの孫世代は、より大きな運用益を得ることになるでしょう。

「投資貴族」が誕生する未来

つみたてNISAだけでなく、未成年口座を上手に利用して、一家全員が億近い投資信託を持ち、毎年、投資信託だけで多くの利益を得る。そんな家族が数多く誕生する可能性は十分にあります。特に、現在の親世代が旅立った後、子どもや孫の世代には、親が未成年口座を長年やっていたか否かで、信じられないほど格差が開いていくかもしれません。「投資貴族」の誕生です。

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そう考えると、この制度は非常にすばらしい制度であると同時に、次世代やその次の世代の人生を大きく変える可能性があります。もしかしたら、みなさんの中には、「お子さんの教育費のために」と学資保険などを検討されている方もいらっしゃるかもしれませんが、利回りや使い勝手のよさを考えると、学資保険はあまりおすすめできません。

本稿をお読みいただいた親御さんのうち、まだつみたてNISAを利用していないという方は、まずご自身の未来のために、投資を始めてみてください。そこで「お金が勝手に増えていく」という経験をしたら、今度はお子さんの将来のために、ぜひ未成年口座を開き、そちらでも投資を始めてみてください。未成年口座を開き、子ども手当やお年玉、お祝い金などを使い、コツコツと投資を続けていけば、一生使える金融リテラシーが身につくはずです。

横山 光昭 家計再生コンサルタント、マイエフピー代表

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よこやま みつあき / Mitsuaki Yokoyama

お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生を目指し、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は、60万部突破の『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は120冊、累計330万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

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