これに対して北区からは、およそ2週間後に回答がありました。結果は、一定の理解を示しつつも、「食物アレルギーへの対応が困難」「児童によって昼食の対応が異なることは集団生活にとって望ましいことではない」などを理由に、すぐの対応は難しいとの返答でした。
佐藤さんはその後もメールを送ったり、担当者に直訴するなどして根気強く主張を続けました。しかし、北区は「1日育成日におけるお弁当持参は一貫してきたので、さまざまな議論が予測される」「児童館長会で継続して協議したい」など慎重な返答が続き、残念ながら希望していた夏休み期間での仕出し弁当開始は、かないませんでした。
とはいえ、北区は基本的には、働く母親への支援には前向きな自治体。最初は難色を示していましたが、佐藤さんの熱意にも押され、要望を実現しようと北区の全児童館長が集まる協議会で審議にかけてくれました。その結果、9月末、ついに仕出し弁当利用の許可が下りたのです。
紆余曲折ありつつも、念願がかなった佐藤さんは、「3人のお母さんと一緒に、何度も議論して成し遂げることができました。ひとりでは決して成しえなかったことだと実感しています」と達成感もひとしおの様子。
同じ学童を利用する保護者に、弁当の利用についてアンケートを実施したところ、43人中29人が「利用する」と回答。佐藤さんらは、冬休み期間中での実施に向け、弁当業者と交渉したり、メニュー送付から注文、集金までの細かい運用方法を詰めたり準備を進めました。
佐藤さんは「保護者の方からはまずまずの反応だったので、次回の春休み、そして最もニーズのある夏休みで、いかに利便性を実感してもらえるか、気を抜かず頑張るぞ!という気持ちです。北区のほかの学童とも一緒に運用できればという期待があります」とさらに意欲を燃やしています。
佐藤さんの事例からは、保護者が力を合わせて働きかけていけば、行政も動かせるということがわかります。逆に声を上げなければ改善されないままかもしれません。ただ不平不満を口にするだけではなく、正当な方法で仲間たちと問題解決に動いていく。保護者として見習いたい姿勢です。
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