出会いから振り返る「相棒・亀山」復帰の真の狙い 1代目から4代目「相棒」を振り返ってみると…

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第3話は事件の舞台が病院で、右京が偶然盲腸で入院しているという設定。だから右京は動けない。代わりに薫が手足となって捜査に当たるのだが、最後右京の姿が見えなくなり、犯人に「俺の相棒はどこだ!」と叫ぶシーンがある。

最初は反発していた薫のこころの変化を表す印象的な場面だ。また、元妻のたまき(高樹沙耶)から、亀山と仕事をするようになって変わったと右京が言われる場面もある。

視聴率も第2話では20%超えを記録するなど好評だったことを受け、2002年には連続ドラマに。そしてドラマ史に残る長寿シリーズになっていく。

亀山薫の退職、そしてその後

寺脇康文演じる亀山薫が杉下右京の相棒を務めたのは、season1の最初からseason7の第9話まで。この第8話と第9話は前後編で、その時点で薫がかかわった最後の事件になった。そのなかで、薫は再び人質になってしまう。しかし、先述の最初の事件のときに右京から教えてもらった方法で脱出。このあたりにも、2人の絆の深まりが巧みに表現されている。

薫が特命係から離れた理由は、海外でボランティア活動をするため。サルウィンという国でボランティアをしていた薫の親友が殺され、その後を継ごうと決心したのだった。

サルウィンは架空の国だが、東南アジアにあるという設定。そこでは貧困などとともに政治腐敗がはびこっていて、現地に行きその実態を知った薫がサルウィンの子どもたちに「正義とはなにか? 」を教えたいと思い、警視庁を退職したのである、

現在の刑事ドラマの原点と言えるのが、『太陽にほえろ!』(日本テレビ系、1972年放送開始)である。マカロニ刑事を演じた萩原健一やジーパン刑事を演じた松田優作など、若手刑事役の俳優がこのドラマをきっかけに次々に人気者になったが、その際、劇中から退場するときに殉職というパターンが生まれた。このパターンは、刑事ドラマの定番になっていく。

ただ、『相棒』はそうしなかった。スタッフがどこまで見越していたのかはわからないが、薫はちゃんとサルウィンで彼らしく生きているという流れにしたことが、今回の復帰につながったとも言える。

実際、直接名前が言及されることこそないものの、セリフのなかに「サルウィン」や「サルウィンにいるあの男」といった言葉が出てくることが、薫がいなくなった後もあった。

人気キャラクターのひとり、薫を好きなゲイバー「薔薇と髭と…。」のヒロコママ(深沢敦)が登場する回でさりげなく薫のことが話題になったり、面白いところでは、動物の亀が出てくる回で右京が亀山のことをほのめかすようなセリフを語ったりしたこともあった。特に近年は、そうした感じの場面が増えていた印象もある。

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