医療費を1千万円減らす「口腔ケア」のすごい効果 歯周病で認知症、糖尿病、脳卒中等のリスク増大

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口内環境の悪化がさまざまな全身疾患にもつながる原因は、大きく3つあります。

①歯周病菌の影響

②歯を失うことによる脳の血流不足

③歯を失うことによるタンパク質不足

それぞれ、簡単に説明しましょう。

歯周病は自然治癒しない

まず、①の「歯周病菌の影響」は、35歳前後から増大し、40代になるころには進行の差こそあれ8割もの人が歯周病を発症します。歯周病は、風邪などと違って自然治癒しません。

その歯周病菌がもとになって生成される「アミロイドβ」が、血管を通じて運ばれて脳内で記憶を司る「海馬(かいば)」を中心に少しずつ溜まっていき、これが、アルツハイマー型認知症を発症させたり、悪化させたりする原因となることがわかっています。ちなみに、アミロイドβが脳内に溜まって認知症を発症するまでには、25年ほどかかると言われています。

また、歯周病菌が出す毒素の影響でつくられる炎症物質「サイトカイン」が血管を通じて全身に放出されることにより、インスリンが効きにくくなって「糖尿病」が発症・進行しやすくなります。さらに、動脈の内壁が厚く硬くなって「脳卒中」のリスクを高め、冠動脈が傷んで「心筋梗塞」を起こす一因となるのです。

このほか、高齢者が発症する肺炎の約70%以上といわれる「誤嚥性肺炎」も、歯周病菌が発症リスクを高めることがわかっています。さらに歯周病は、強烈な口臭の原因にもなります。

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