ストレスを感じる人が敏感になるべき「腸のSOS」 腸内細菌が整うと、脳も心もポジティブになる
まず、セロトニンの役割は「他の神経伝達物質の調整」です。脳には、喜びや快楽を感じさせる「ドーパミン」や恐怖や驚きを感じたときに分泌される「ノルアドレナリン」、神経興奮や運動に働く「アセチルコリン」などの神経伝達物質が存在し、それぞれが適量ずつ働くことで身体のバランスを保っています。
その神経伝達物質の量をコントロールしながら心を落ち着かせ、精神を安定させる、それが“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの働きです。
セロトニンが不足すると相対的にドーパミンやノルアドレナリンの割合が高まり、感情が不安定な状態に。その結果、ストレスのかかる出来事に対して敏感になったり、うつ病やパニック障害を引き起こす原因になってしまったりします。
GABAにも精神を落ち着かせる効果が
またGABAも、セロトニン同様に精神を落ち着かせる効果のある神経伝達物質です。サプリメントやチョコレートに配合されるなど、近年ブームになっているのでご存じの方も多いかもしれません。
ただ、複数の論文が「口から摂取したGABAは脳に到達しない可能性がある」と結論づけています(複数の論文で「到達しない」と結論づける記述が見られましたが、近年の研究では「若干量ではあるが到達する」との見方も)。そのため、サプリ等で摂取するよりも、「材料となる成分」を摂り、体の中で必要量を作り出すほうがGABAの効果をより実感しやすい、と考えられます。
セロトニンやGABAの働きは、精神への作用にとどまりません。体の動きをコントロールする際にもしっかり使われています。例えばセロトニンには「腸の運動を活発にする」働きが。腸内環境の悪化により腸の動きが低下している人は、腸を動かすためにセロトニンをたくさん消費してしまうので、体内がセロトニン不足になることもあります。
つまり、気分を安定させる、この2つの神経伝達物質を体内で効率よく作り出し、絶対数を増やすことができれば、幸福感を得やすくなり、ストレス耐性も強くなる。さらに、腸の動きも活性化するので、腸脳相関的にプラスの循環が生まれる、というわけです。
では、どうすればGABAとセロトニンを増やすことができるのでしょうか。
近年の研究で、ラムノーサス種に代表される乳酸菌を摂取することで、腸にあるGABA受容体が刺激を受け、脳内でのGABAの生産を促せることがわかりました。また、ブレビス種やプランタルム種といった複数の乳酸菌が腸内でGABAを作り出すことも報告されています。
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