エニタイム社長、総会での会長勝利に「敗戦の弁」 オーナー会長が意見対立の社外取3人をクビに
――それでも、さすがに株主提案までしてくるとは思いもしなかった?
詳細は申しあげにくいが、今回に限らず、(大熊会長は)以前から株主提案をにおわせる発言をされていたことはあったので、まったくの予想外でもなかった。
――大熊会長と高嶋氏が株主提案を行ったと会社が発表した直後、従業員からも株主提案に対する反対声明が出ました。
ガバナンスをきかせている社外取の首を切ってまで会社の決定事項を覆すという異例の事態に対して、社員たちが強い危機感を感じたのだと思う。会社が出せと指示したわけではなく、従業員たちが自発的に出した声明だった。
東証からは「オーナー色が強すぎる」
――会社設立から10年目の2020年に東証上場(当時はマザーズ市場)を果たしました。その上場審査の際にもガバナンスの問題点を指摘されたと聞きます。
東証からは、オーナー色が強すぎるという指摘を受けた。単に保有株数が多いだけでなく、取締役との人的関係なども含めた指摘だった。
その指摘を踏まえ、社外取を増員して社外取が過半を占める取締役会とし、また任意の指名報酬委員会も設置するなど、ガバナンスの強化にできる限り取り組んだ。
――土屋社長と大熊会長の距離感について教えてください。会長とはどのくらいの頻度で顔を合わせていたのですか。
会長は月1回の取締役会に出席するために出社する程度なので、顔を合わせるのはその時ぐらい。私が直接、もっと会長とコミュニケーションをとるべきだったと反省する部分もゼロではないが、一方でそれはなかなか難しかったとも思う。
私自身、政治的な動きが苦手ということもあり、会社の成長にすべてのエネルギーを使いたいという思いもあった。
――土屋社長については、株主提案でも取締役リストに名前が載りました。なぜだと考えますか。
少なくとも、私はイエスマンではない。その自分を会長がどういう判断で再任させたのか、真意はわからない。
希望的観測で言うなら、2017年に自分が社長になってからの数年間で会社が急成長を遂げたので、多少は評価してもらえているのではないかと(笑)。