「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これだけでは、うつ病が先か、腸内細菌の違いが先かはわからない。ただ、複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった。

また、一般に細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。

1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっていた。2~4回では40%増、5回以上では56%増と、治療回数とともにうつ病リスクは高まった。

「睡眠障害」「生活習慣病」「コロナ」も

うつ病と脳腸相関に関する研究をまとめた論文では、「抗生物質、慢性ストレス、貧しい食生活」は、いずれもうつ病の発生率を高めるとしている。腸内細菌のバランスを乱し、うつ病に典型的なパターンに変えてしまうためだ。

腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。

睡眠障害も同様だ。

2019年には、腸内細菌に偏りがなく多様性に富む人では、睡眠の質と睡眠時間が向上し、途中覚醒が減少するという研究が発表された。腸内細菌の種類が多いほど、「インターロイキン6」という分泌物の濃度が高かった。

インターロイキン6は、さまざまな免疫反応を活性化させる作用のあるサイトカイン(生理活性たんぱく質)の一種だ。睡眠障害やうつ病の人ではインターロイキン6の血中濃度が低いことが、以前から指摘されていた。

このほか、さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある。

さらには新型コロナまでも、その影響を免れない。

新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。

その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘されている。

次ページ腸内細菌の知られざる役割とは?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事