「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物
ここまで読んできて、「腸内で起きていることの影響が、どうやって脳に伝わるの?」と不思議に思われたのではないだろうか。
アメリカ・ジョンズホプキンス大学によれば、食道から直腸までの消化管は、1億個を超える神経細胞から成る2層の薄い膜で覆われている。この「腸管神経」は、情報伝達物質(ホルモン、サイトカイン等)や免疫系など複数の経路を介して、脳と双方向ネットワークを形成し、密接に影響しあっているという。
腸からは以下のような情報伝達物質等が放出されている。
●脳内で不足するとうつ病を発症するとされている「セロトニン」
●やる気ホルモン・幸せホルモンとも称される「ドーパミン」
●ストレスを減らすアミノ酸として注目されている「GABA」
●免疫システムに働きかけて炎症を抑える「酪酸」などの「短鎖脂肪酸」
(短鎖脂肪酸には悪玉菌を減らす働きも)
つまり腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。
こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた。精神障害や神経障害、生活習慣病等の予防・治療につなげようという動きもある。
この脳腸相関に必須のプレーヤーが腸内細菌だ。というのも、先に挙げた情報伝達物質等の作り手こそ、腸内の善玉菌なのである。
脳腸相関を生み出す「腸内細菌叢」という臓器
脳腸相関がわかってきた背景には、「メタゲノム解析」の発展がある。従来のゲノム解析では、細菌を1つひとつ分離・培養して個々のゲノム(DNAに含まれるすべての遺伝情報)を調べ、特徴を把握するしかなかった。
しかし、ヒトの腸内は、500~1000種類の腸内細菌が100兆個もひしめき合って「腸内細菌叢」(腸内フローラ)を形成している。ゲノム解析の積み重ねによって腸内細菌叢の全体像をつかむことなど、到底現実的ではなかった。
技術革新により実現したメタゲノム解析では、腸内細菌叢のDNA配列を網羅的に決定する。ゲノムがどの微生物由来かはわからないが、腸内細菌叢全体でどのような機能を持つのかは調べられるようになった。
そうして見えてきたのが、【脳⇒腸】方向の情報伝達を含む脳腸相関という現象だ。そして、集合体としての腸内細菌叢が、それ自体“臓器”と言っていいくらいヒトの生命活動に重要な役割を果たしている、という事実だ。
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