■勘とデータが融合した自販機商品開発
販売データから見たターゲット像
同社には他の飲料メーカーや自販機運営外会社にはない武器がある。飲料の販売データを精緻に取得できることだ。
同社は「次世代自販機」と呼ばれる自動販売機を現在約40台稼働させている。商品画像を表示し、画像にタッチして商品を選択する47インチの大型液晶ディスプレイ。その上部に利用者の属性(年代・性別)を判別するセンサが搭載されている。利用商品×属性をPOS情報として取得できるのだ。また、suicaを媒介に、個人情報は関わらない性別などの属性データも、カードリーダー・ライターを搭載した3000台の自販機から収集している。
「いままでの自販機では取得できず、販売社もメーカーもわからなかった販売時点(POS=Point Of Sales)のデータを活用して、商品作りや売り方を通してお客様の便益を高めたいのです」
同社の代表取締役社長・田村修氏が取材に応じてくれた。そのための次世代自販機や地産のオリジナル商品だというのだ。
今回も昨年から活用できるようになった、suicaや次世代自販機のデータを活用した商品リニューアルを計画したという。
データから見えてきたのは意外な消費者の購買像だった。
果汁飲料は「朝」に購入されると思われていたが、実際には販売データからは、「14時以降の構成比が高い」ということがわかった。つまり、「おやつなどの小腹満たしや、リフレッシュ時に飲まれる」と想定することができたという。
また、商品を購入している性別も想定外だった。街ナカの自販機利用者は男女、9:1であるといわれている。しかし、同社の統計によれば、エキナカの自販機は男女6:4。女性に人気の高い果汁飲料のため、女性が買っているであろうという想定だった。しかし実際には、「男性」の購入が多かった。
データだけで判断すれば当然「男性」を狙ったリニューアルを行うはずだが…。
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