訴訟で露わに「グーグル」宗教団体との謎の関係 ある部門が信者に「占拠」されていた?

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GDSを運営するピーター・ルベルスは、フェローシップの長年の信者だ。ニューヨーク・タイムズが入手した2019年7月時点のフェローシップの名簿には、ルベルスが信者として記載されている。元信者によると、ルベルスはオランダからアメリカに移住後、フェローシップに加わったという。

北カリフォルニアにある教団施設「アポロ」の入り口(2022年5月22日撮影、写真:Rozette Rago/The New York Times)

ルベルスのグーグルでの肩書はディレクターだが、これはグーグルでは通常、バイスプレジデントに次ぐランクであり、年棒は一般的に100万ドル前後となる。

ルベルスは以前、人材派遣会社のケリー・サービシズに勤めていた。ロイドの弁護人を務めるM・キャサリン・ジョーンズは2008年、今回と同様の訴訟で、フェローシップの信者でなかったために昇進を阻まれたと主張したリン・ノイズの弁護人を務め、勝訴している。カリフォルニア州の裁判所はノイズに650万ドルの損害賠償請求を認めた。

増えていくフェローシップの信者たち

LinkedIn(リンクトイン)のプロフィールによると、ルベルスはケリー・サービシズでソフトウェアエンジニアとして働いた後、シリコンバレーの大手ソフトウェア企業オラクルに短期間務めたようだが、このプロフィールは最近削除された。

グーグルに入社したのは2012年。当初は社外のソフトウェアデベロッパーにグーグルの技術をプロモートする部署で働き、2014年にはグーグルのデベロッパーツールのプロモーション動画を制作するGDSの設立に一役買った。

ルベルスの下、GDSはフェローシップの別の信者も何人か雇い入れた。ゲイブ・パネルというビデオプロデューサーもその1人だ。2015年にパネルの父がインターネットに投稿した写真には、ルベルスとパネルがフェローシップ内で「先生」「わが敬愛する先生」と呼ばれていたバートンと一緒に写っている。この写真は最近削除されたが、そこにはパネルを「新しい生徒」とする説明文が添えられていた。

ASGから派遣され2015年からGDSで働くシニアビデオプロデューサーのエリック・ジョハンソンは、契約社員の採用システムがGDSの管理職によって濫用されてきたと語る。今回の訴訟の主張を裏付ける証言だ。

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