訴訟で露わに「グーグル」宗教団体との謎の関係 ある部門が信者に「占拠」されていた?

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グーグルのある部署に多くの信者がいるとされる新興宗教団体「フェローシップ」が運営するカリフォルニア州のワイナリー。2015年にワインの生産をやめている(1997年2月19日撮影、写真:Jim Wilson/The New York Times)
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シエラネバダ山脈のふもとの小さな町に「フェローシップ・オブ・フレンズ」という宗教団体がつくった1200エーカーの複合施設は、アート作品や凝った装飾の構造物でいっぱいだ。

美術や文化に帰依することで高次の意識に到達できると信じるこの宗教団体は、カリフォルニア州オレゴンハウスにあるフェローシップの基地から200マイル以上離れたグーグルのある事業部も、その足場としていた。

解雇された従業員の告発で公に

同事業部におけるフェローシップの存在は、自由奔放な職場文化で知られるグーグルでも異様なものだった。グーグルの元ビデオプロデューサー、ケビン・ロイド(34)が起こした訴訟の内容によると、グーグル・デベロッパー・スタジオ(GDS)では12人ものフェローシップ信者とその親族が働いていた。GDSはグーグルの技術をアピールするプロモーション動画を制作する部署だ。

ほかにも多くのフェローシップ信者がグーグルの企業イベントで雇用され、受付や写真撮影、音楽、マッサージサービス、ワインの給仕などを受け持っていた。訴訟内容によるとグーグルは、信者の1人がオレゴンハウスに所有するワイナリーからワインを定期的に購入し、このようなイベントで振る舞っていた。

ロイドは、フェローシップの影響について会社に苦情を申し立てたことが原因で昨年解雇されたと主張している。ロイドの訴状にはロイドの派遣元だったアドバンスト・システムズ・グループ(ASG)の名も記されている。GDSの従業員の大部分はASGから派遣された契約社員で、そこにはフェローシップの信者が多く含まれていた。

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