もしもMBA学長がフェスをプロデュースしたら 「茨城からフェスの灯は消さない」決意と勝算

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堀義人氏が、未経験ながら短期間で大規模フェスの開催を決意した理由とは?(写真提供:LuckyFM 茨城放送)
日本三大フェスの1つ、ROCK IN JAPAN FESTIVAL(通称ロッキン)が今年から千葉で開催されることになった。これまで20年にわたり開催されてきた茨城では、移転に伴う経済的な損失や精神的な喪失感が懸念されたが、そんな中、新たなフェスがこの地に生まれようとしている。茨城放送が主催するLuckyFesだ。同社の筆頭株主であり、『創造と変革の技法』の著者でもあるグロービス経営大学院学長の堀義人氏が、未経験ながら短期間で大規模フェスの開催を決意した経緯と意気込みを語る。

廃墟とシャッター街が立ち並んでいた故郷

神様は僕を、どこに連れて行こうとしているのか。

最近、ふとそんなことを考える。

ビジネススクールの学長として経済界や経営者たちと交流し、ダボス会議で政治や気候変動の議論を交わす。そんな日常を送っていた僕が、いつのまにか、プロのバスケットボールチーム茨城ロボッツのオーナーになり、茨城放送の筆頭株主になった。バスケにもラジオ業界にもまったく縁がなかった僕が、である。

『創造と変革の技法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そして今、また新たに、未知の領域へのチャレンジをすることになった。そのチャレンジとは、音楽フェスティバルのプロデューサーだ。それも、ただのフェスではない。ロックの聖地「国営ひたち海浜公園」で開催する、大規模フェスだ。

自分史上最高難易度のチャレンジである。

茨城に深く関わりはじめたのは、2015年からのことだ。生まれてから東海村・水戸市で育ち、大学進学を機に故郷から遠ざかっていた僕は、スイミングクラブの同窓会に参加するために故郷に戻ってきた際に、かつて知ったる街の姿を見て愕然とした。中心地にもかかわらず、廃墟と空き地、シャッター街が立ち並ぶ、その光景に。

これまで故郷を省みなかったことを痛烈に後悔した僕は、すぐさま水戸市長に連絡を取り、「水戸ど真ん中再生プロジェクト」の創設を提案した。そしてプロジェクトの一環として、茨城ロボッツに経営参画し(2016)、中心市街地にバスケットコートなどの複合施設M-SPOを作り(2017年)、水戸の歴史を日英の言語で出版するプロジェクトを開始し(2018年)、茨城の魅力を県内外に発信するために茨城放送の経営権を取得して(2019)、偕楽園の横に千波湖を見下ろすM-GARDENを建設してきたのだ(2020)。

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