もしもMBA学長がフェスをプロデュースしたら 「茨城からフェスの灯は消さない」決意と勝算

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そこまでが下準備で、そこから実際に、アーティストのブッキングやスタッフの確保、ステージの美術や音響機材の手配など、実務の準備があるわけだ。プロでも1年半近くかけてやることを、素人が半年足らずでできるわけがない、と思うのも無理はない。

でも僕は腹をくくっていた。茨城放送は県内唯一の民放放送局であり、茨城を元気にする義務がある。20年ものあいだ県民に愛され、誇りであったイベントが失われるのを黙って見ていては「水戸っぽ」がすたるというもの。

「もし損が出たら全部僕が被るから」。そう宣言して、僕はみんなに本気であることを示した。

最大の壁は時間

茨城放送として独自のフェスを開催するにあたり、まず頭を抱えたのは「時間」の問題、つまり「期限がある」ということだ。僕はこれまでにも、ベンチャーキャピタル、グロ放題、茨城ロボッツへの経営参画や茨城放送の買収など、自分が未経験の事業に数多くチャレンジしてきたが、それらには明確な期限はなかった。準備をし、タイミングを見計らい、適宜延期するなど時間を味方につけることができた。だが今回はそれができない。

ロッキンはこれまで毎年、8月の頭に開催されてきた。1月から準備を始めても7カ月しかない。GWまでに内容を固めてアテンションを取りに行かないと観客が他のフェスに流れてしまうことを考えると、実質的にはほんの数カ月のうちにはある程度の大枠を決めておかなければならない。コネも経験もスタッフもいない状況で、である。

「意気込みはわかるけど、せめて次年度(2023年夏)に開催してはどうか」。そんな現実的な助言もいただいた。ゼロから立ち上げるのだから、1年半かけて次年に開催できたとしても快挙だろう。でも僕は、翌年に持ち越す気はない。ただでさえ誰もが「本当に茨城でフェスが開催されるのだろうか」と疑心暗鬼になっている。来年などと悠長なことは言わず、「Think Big, Start Small」で、やれる範囲で最善のことを今年やると決めたのだ。

そうと決めたらスピード勝負、1分1秒も無駄にはできない。その日から今日まで、僕は1日40~50件にのぼるLINEのメッセージのやり取りを通して意思決定し続けている。

余談だが、実は開催日を1カ月前倒ししていることをここで告白しておこう。当初予定していた8月下旬に同日に開催される夏フェスを避けて、地元の夏祭りに配慮するためだった。その結果、7月23日と24日に開催日が前倒しとなり、準備期間がさらに1カ月短くなったのだ。

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