もしもMBA学長がフェスをプロデュースしたら 「茨城からフェスの灯は消さない」決意と勝算

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20年にわたりこの地で愛され続けてきたフェスをなぜ移転させるのか。僕は彼らの意思決定の理由を語る立場にはないし、その真意もわからない。

だが目の前に突きつけられた現実と、その事態の深刻さは明らかだ。県民の誇りであり、2年の開催中止を経て待ち望んだ希望のフェスが失われてしまうのだ。観光業界への経済的ダメージはもちろんだが、この事を知った県民が受ける文化的・精神的ダメージを考えると戦慄が走った。

知らせを聞いて、僕はこの状況について考え抜いた。そして腹をくくった。茨城放送の阿部重典社長とイベント事業部の鬼澤武文部長を呼んで、ロッキンが移転すると知らせた関係各所とロッキンに、次のように伝えることを指示した。「茨城放送は、国営ひたち海浜公園で新しいフェスを開催する意思がある」と。

2022年1月5日、ロッキンから開催地の移転の知らせがリリースとして出された2時間後に、僕たちは独自のフェスを開催するリリースを出した。「茨城からフェスの灯は消さない」というメッセージとともに。

ミッションインポッシブル

僕がフェス開催の意思を音楽業界関係者に伝えたときの反応は「へっ?」という感じだった。「えっ!」と驚くでも「え~?」と呆れるでもなく、あまりに突拍子もないから何を言ってるのかもわからない、というような「へっ?」だ。口には出してなかったけれど「何を血迷っているんだ」と思ったかもしれない。実際、この件については多くの人に「やめておけ」「できるわけない」と言われた。それはそうだ。経験もノウハウもコネもないド素人が、日本、いや、世界最大規模の音楽フェスの開催地に独自フェスを半年間の準備期間で開催すると宣言したのだから。

これがどれくらい大それた事なのかは僕にも十分わかっている。茨城ロボッツの1年間の売上高が約6億円。茨城放送も約6億円。そして僕たちがやろうとしているフェスの予算規模は約6億円の見通しだ。しかも、1年間を通してではなく、たった2日間のフェスで6億だ。

巻き込む関係者の数も尋常ではない。会場となる国営ひたち海浜公園はもちろん、そこを管轄する国交省、県や市などの自治体、観光協会、商工会議所、警察、消防、公共交通機関、医師会、保健所、病院と、気が遠くなるほどの相手との連絡・調整が必要となる。もちろん住民に対してもだ。

次ページ立ち上がらねば「水戸っぽ」がすたる
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