「物知りな人がエラい」日本の教育の決定的ズレ感 YouTubeで得られる情報を詰め込んでどうする

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写真左より佐渡島庸平氏、石戸奈々子氏
「知識詰め込み型」の日本の教育は過渡期にあるといわれるようになって久しい。プログラミングやeスポーツといったデジタル教育など、学校教育を取り巻く社会環境が大きく変わる今、「そもそも何のために教育するのか」という根本からの変化が起きている。では、教育の未来はどうあるべきか。
テレビドラマも大ヒットした漫画『ドラゴン桜』の編集者・佐渡島庸平氏(コルク代表)、MITメディアラボ客員研究員を経て日本のデジタル教育を推進する石戸奈々子氏(CANVAS理事長)が語った教育の未来戦略を新刊『JAPAN TRANSFORMATION(ジャパン・トランスフォーメーション) 日本の未来戦略』より紹介する。

「そもそも論」が足りない

佐渡島:今、日本の教育は過渡期にあるといわれていて、いろんな議論があちこちで盛り上がっています。でも、僕がいつも感じている違和感があって、「どれもこれもマイナーチェンジの話ばかりだな」と。

英語教育はどうあるべきかとか、プログラミング教育は何歳から導入するのがいいのかとか、「箸を使って食べるか、フォークを使って食べるか」みたいな各論にばかりフォーカスがあって、肝心の「何を食べるか」という全体論の議論が不足している。アプリではなくて、そもそもの基盤であるOSの話をしようよ、と問いたいです。

石戸:同感です。明治時代以来続いてきた「一斉授業によって均一化された知識を身につけた人材を量産する」という工業化社会に適した教育システムから、大きな転換を図るべきときを迎えています。

カギになるのは、やはりDX、教育のデジタル化。これは単にデジタルツールを導入するという意味ではなく、それをきっかけとして「教育を根本から考え直し、今の時代にふさわしい教育につくり変える」ということです。つまり、教育を強化する手段としてデジタルを活用すべきというのが私の主張です。

日本の学校教育の情報化は後進国に甘んじてきました。しかし、新型コロナウイルスという強烈な外圧によって急速に進もうとしています。それに伴って、「教育って何だっけ」「学校の役割とは何か」「先生の役割とは」と、今まで通り過ぎてきた本質的な問いに社会全体が向き合うことになりました。

社会が変われば、そこで生きる人たちに求められるスキルも変わります。当然、学びの場にも変化が求められます。そして、その変化を可能とするのもまた技術の力です。

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