がんで200万円も「ペットの医療」高額化の現実 ペット医療も専門化、細分化、高度化している

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一般的には、この病気の治療は、内科治療である内服が多いですが、最近では、外科治療もされています。

内科治療をしていても肺に水がたまる「肺水腫」という状態になり、呼吸ができなくなってしまうこともあります。肺水腫になるぐらい病気が進んだ子は、治療をしても再発することもあります。そうならないために、心臓外科手術という選択肢があります。

心臓の外科なので、特殊な設備である人工心肺装置や特殊な手術器具を使って手術をします。日本でこの手術ができる獣医師はわずかしかいないです。施術費用も200万円以上かかることもあります。体重が2キロもないチワワもこの心臓の手術をすることもあるのです。

発作で気づくことが多い「脳腫瘍」

脳外科

心臓外科と並んで、あまり知られていないのが、動物の脳外科です。上述しましたが、犬や猫が高齢になるに従って、がんになることが多いです。脳腫瘍も例外ではありません。脳腫瘍で最も多い症状は「発作」です。この時点で、気がつく飼い主が多いです。

それ以外に「ぐるぐると一定の方向に回る行動を繰り返す(旋回運動)」「体の平衡や姿勢が保てない(運動失調)」「首がねじれた状態になって姿勢をうまく制御できなくなる(捻転斜頸)」などもあります。脳のどこにできているかで、症状が変わってきます。

脳はMRIやCTを撮らないと外からどうなっているかわからないのですが、現在の日本には画像診断ができる動物病院が増えていますので、脳腫瘍が診断しやすくなっています。

脳外科は、画像診断をして、顕微鏡などを使って、外科的に脳の腫瘍を取ることもできます。人間と同じ手術道具を使ってします。手術時間は、6時間から12時間ぐらいかかるそうです。このような施術費用は、約100万円かかります。

犬や猫の平均寿命が延びています。猫は将来、30年の寿命になるかもしれないと言われています。長寿になれが、当然、病気にもなります。いまや、専門性に特化した動物病院に通うと高度な医療を受けられます。その反面、高額医療になることを覚えておいてください。

できるだけの治療を愛犬や愛猫にしてあげたいと思っている飼い主は、将来のために保険に加入する、貯金をしておくことが大切になります。愛犬や愛猫が病気になったときに、慌てないために最新医療と高額医療という知識をみんなでシェアしておいていただきたいです。

石井 万寿美 まねき猫ホスピタル院長、獣医師、作家

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いしいますみ / Masumi Ishii

大阪市生まれ。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。『動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)』シリーズ、『ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)』など著書多数。シニア犬と暮らす。

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