知ると驚く「消費者の内面がデータでわかる」秘策 直接的な把握が困難でも「因子分析」で浮き彫り

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●表1:アンケート項目の因子負荷量

質問項目 因子1 因子2 因子3

①脂質・糖質・コレステロールに気を遣う

0.95 0.08 0.12

②カロリーに気を遣う

0.90 0.13 0.18

③栄養バランスを整えるようにしている

0.84 0.11 0.09

④食事はコンビニで済ませることが多い

-0.26 0.92 -0.23

⑤ファストフード店をよく使う

-0.38 0.81 0.10

⑥サプリで体の調子を整える

0.35 0.52 0.08

⑦食費を抑えるようにしている

0.13 -0.08 0.92

⑧安い食材を選ぶようにしている

0.18 0.13 0.88

⑨外食は控えるようにしている

0.32 -0.43 0.75

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

まず「①脂質・糖質・コレステロールに気を遣う」から「③栄養バランスを整えるようにしている」は因子1の因子負荷量が高いので、因子1から強い影響を受けていることがわかる。それを踏まえると、因子1は「健康志向」と命名できる。

同様に、「④食事はコンビニで済ませることが多い」から「⑥サプリで体の調子を整える」は因子2の因子負荷量が高いことから、因子2を名付けると「簡便志向」と言える。最後に「⑦食費を抑えるようにしている」から「⑨外食は控えるようにしている」は因子3による影響が強いため、因子3の名前は「節約志向」と名付けられる。

こうして各因子の内容を解釈して名前を付けたら第2ステップは完了である。解釈と命名については、分析者が因子負荷量の数値と自分の知識を基に、主観的に行わなくてはならない。

最後に1人ひとりの各因子の強さを確認する

そして最終ステップで、1人ひとりの各因子の強さを確認する。具体的には、各因子の回答者ごとのスコアを表す「因子得点」を確認する。因子得点は、前述の因子負荷量とアンケート結果を用いて計算される。計算方法としてメジャーなのが「回帰法」だ。

先程の例を基にすると、「①脂肪・糖質・コレステロールに気を遣う」から「③栄養バランスを整えるようにしている」の点数が高い回答者は、因子1=「健康志向」の因子得点が高くなる。この因子得点の計算によって、表2のようなデータを得られる。

例えば、回答者Aは因子2の得点が高く、簡便性という価値観を重視していることがわかる。同様に回答者Bは因子1と因子3両方の得点が高いことから、健康と節約を重視している……といったように、価値観を数値化して扱うことができるようになった。

表2:各回答者の因子得点データ(例)

回答者 因子1 因子2 因子3
  健康志向 簡便志向 節約志向
A -0.45 1.60 0.37
B 1.89 0.11 3.11
C 2.31 0.24 0.69
D 0.89 2.87 -0.21
E 0.09 -0.32 2.02
F 0.54 0.66 0.24
次ページ消費者を細かく把握できるようになる
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