法隆寺五重塔が「地震で全然倒れない」納得の根拠 東京スカイツリーにも導入されたすごい技術

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現存する世界最古の木造建築、法隆寺のすごい技術に迫ります(写真:gandhi/PIXTA)
日本の科学技術力の低下が懸念されていますが、歴史をたどると日本で発明された優れた技術がたくさんあります。
今回はその中から、東京スカイツリーの地震対応にも採用されている「法隆寺五重塔」の世界最古の木造高層建築技術について、RikaTan(理科の探検)誌編集長の左巻健男氏編著『世界が驚く日本のすごい科学と技術』から一部抜粋・編集してお届けします。

五重塔は全体的にユルユルの構造

法隆寺は奈良県生駒郡にある寺院で、1300年以上昔に造られました。五重塔を含むいくつかの建物は、現存する世界最古の木造建築で、日本で初めて登録された世界遺産です。実は1000年以上昔の木造建築は世界の中でも日本にしかありません。火災をまぬがれた幸運もありますが、世界有数の地震国日本で高い塔が倒壊せずに残ってきたことは驚異的です。

仏教寺院の建築技術は6世紀後半、仏教とともに朝鮮半島から伝わったといわれていますが、五重塔に使われている技術は、朝鮮半島にも中国大陸にもない日本独自のものです。総重量1200トンを、いったいどのような技術で安定化させているのでしょう?

五重塔は、中心に立っている桧(ひのき)の柱(心柱、しんばしら)と周囲にある5層の瓦屋根(庇、ひさし)からできています。塔の重量はほとんどが庇にあります。

しかし実は心柱の周囲は吹き抜けになっていて、階段すらなく、各階の庇とは直接つながっていません。心柱が他の構造と接しているのは屋根の部分だけです。心柱はただ地面から立っているだけで、庇自体の重量を支えているのは心柱とは別の16本の柱なのです。しかも、ある階の庇は下の階の庇に間接的に乗っているだけで、構造は階ごとに独立しています。

つまり法隆寺の五重塔は、実は全体的にユルユルの構造なのです。

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