法隆寺五重塔が「地震で全然倒れない」納得の根拠 東京スカイツリーにも導入されたすごい技術
さて、各階の庇は上にいくほど、小さく軽くなっていますが、これはデザインのためだけでなく、それ自体が五重塔の地震対策に大事な役割を持っています。
大きな地震が来ると、各階の重量が違うためタイミングがずれて揺れます。自転車と軽自動車とダンプカーが同じ力で加速したら、進む距離が違ってくるようなものです。
その結果、各階は地震のとき、しばしば逆向きに振動し、各階の重心の変化は塔全体としては打ち消しあうことになります。塔が全体として大きく傾かなければ、塔を構成する木がしなって、その揺れを吸収できます。
五重塔を倒すほどの地震は、地球上に存在しない
それでも大きな揺れが来ると、いちばん大きく影響を受けるのはいちばん高い屋根の部分です。実はそこに心柱がつながっていて、大きな揺れを心柱が吸収するのです。
ユルく結合した庇が地上と最上部の心柱の両端で支えられていて、その間の各階が自由に動けるようになっているイメージです。こうして全体の間接的でユルい結合が地震のゆれをうまく吸収し、全体へのダメージとならないように設計されているのです。
地震の規模を示すマグニチュードには上限があります。地殻を作っている岩石の構造が壊れてしまうので、無限に大きなエネルギーは貯められません。1921年、東京帝国大学教授の大森房吉は、いくつかの実験を元に「五重塔を倒すほどの地震は(地球上に)存在しない」と結論づけています。
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