仮病じゃない!理解されない「気象病」の真犯人 梅雨時は頭痛薬が売れる、「五苓散」も効果あり

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2019年には、内耳の「前庭器官」に気圧を感知する部位があることも、マウス実験で確かめられている。

気圧変化を受けて交感神経を興奮させるのは、別名「しあわせホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」の働きと考えられている。

内耳(前庭器管)で感知された気圧の低下は、体へのストレスと認識される。そこで、精神の安定や安心感を高め、ストレスに対抗する働きのあるセロトニンが大量に放出されるのだ。

だが、セロトニンは交感神経を刺激し、血管を収縮させる作用もある。この血管収縮によって、後頭部を中心に頭が重く、締め付けられるような「緊張型頭痛」が起こる(頭痛の約8割)。

頭痛の痛みに対してさらにセロトニンが放出され、血管を収縮させて頭痛を悪化させる、という悪循環が起きていく。

片頭痛は少しの気圧低下でも発症しやすい

緊張型頭痛以上に低気圧の影響を受けやすいのが、頭痛の約1割とも言われる「片頭痛」だ。

ズキンズキンと波打つように痛み、次第に吐き気やめまいの症状も出て、光や臭いに敏感になる。

片頭痛では、低気圧が接近した際、緊張型頭痛よりも過剰にセロトニンが放出されるらしい。脳血管が急激に収縮し、視野の中に突然ギザギザ・キラキラとした光の波が現れる人もいる(閃輝暗点・せんきあんてん)。特徴的な片頭痛の前兆だ。

一気に消費されたセロトニンは、すぐに枯渇してしまう。セロトニンによるコントロールの外れた三叉神経が興奮し、“痛み物質”を放出して血管拡張と炎症を引き起こす。こうして片頭痛が発生するというのが有力説だ。

2015年の東海大学の研究では、気圧低下に伴い、緊張型頭痛持ち人の2割強(28人中6人)が発症したのに対し、片頭痛持ちでは4分の3近く(34人中25人)が発症した。

片頭痛は、標準の気圧(1013hPa)よりも6~10hPa低くなったときに最も出やすかった。台風は900~1000hPaくらいなので、そこまで大幅に下がらなくても、小さな低気圧の接近や通過で十分に影響を受けてしまう。「雨が近づくと頭痛がする」という患者さんの実感にもマッチしている。

頭痛あるいは痛み全般に言えるのが、「早めの服薬」が肝心ということだ。神経の興奮は連鎖反応なので、放っておくと自然に治まるどころか、進んだり強まったりすることのほうが多い。強まってからでは、薬を飲んでもすぐには治まらない。頭痛薬などをいつも携帯して、天候が怪しいときや、なんとなく頭が重いなど予兆を感じたら、すぐ服薬することが大事だ。

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