グーグルは、優秀な社員を放し飼いにしているんです--村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第1回)

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 変遷というものを心得ていないと、「私たちのやっていることが未来永劫続く」とか、逆に時代の要請に先走りすぎて「この技術を使わないほうがバカ」といった思い込みに陥りやすいんですね。エリックとは、あうんの呼吸でそのあたりのことが理解し合えたんです。

--グーグルと他の会社との大きな違いはどんなところにありますか。

まず、社員が優秀であることです。

少数精鋭で一気呵成にあっという間に仕事を仕上げてくるのには驚きました。もちろんどの会社にも優秀なエンジニアはいましたよ。特に日本DECは、営業をしなくても皆が買いにきてくれるほどの勢いがありましたので、日本では飽き足らず最先端に携わりたいという優秀な人がたくさん集まってきました。

今のグーグルも同じです。優秀な人間のやりたいことに十分答えてくれるようなリソースを持っているのは、グーグルしかありません。ただ、グーグルは採用そのものも非常に厳しいんです。面接担当者は「あなたより優秀な人材を雇いなさい」と言われます(笑)。

--面接では何を重視し、採用後はどうマネジメントしていくのでしょうか。

即戦力となることも大切ですが、カルチャーを守るため、「エアポートテスト」と呼ばれる考え方も重視しています。

面接官は、空港で飛行機が飛ばず、近隣のホテルも満杯といった状況を想像し、「この人と一緒に空港で一晩閉じ込められても耐えられるか」と最後に自問自答します。明日の朝まで一緒にいられそうだと思えばその人を雇うんです。

結果、サービス精神が旺盛で、しかも“can do(何とかできる)”というタイプの人ばかりが集まる楽しい職場になります。

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