マネジメントに関しては、管理するのではなくある種“放し飼い”にしています(笑)。基本的に、グーグルでは上司が部下に命令するということがありません。少数精鋭でやっているので、今進行している仕事については上司よりも部下のほうがよくわかっているわけです。
もちろん即戦力となる人材がそろっているからというのもありますが、極めてシンプルなビジネスモデルだからこそ放し飼いが成立します。このシンプルなビジネスモデルというのは、グーグル成功の最大要因ですね。
グーグルのミッションステートメントは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」。非常にシンプルでくっきりとしたものです。
つまり、グーグルがやろうとしているのはユーザーと情報の懸け橋となるサービスを創造すること。課金などを考え始めると、懸け橋となるサービスではなく儲かるようなサービスを創造する方向に軸足がずれるので、サービスは無料で提供し、広告収入のみで稼ぐというシンプルなビジネスモデルにしています。優秀な人たちに「何でもいいから金儲けを考えて」と言ったら収拾がつきません。シンプルなビジネスモデルという“見えない垣根”の中で“放し飼い”にするからうまくいくのです。
(撮影:尾形文繁)
2003年4月、Google Inc. 副社長兼 Google Japan 代表締役社長として Google に入社以来、日本における Google の全業務の責任者を務める。09年1月で社長退任、名誉会長就任。10年12月名誉会長退任、現在に至る。京都大学大学院非常勤講師、会津大学参与。Google入社以前には、01年にDocentの日本法人であるDocent Japanを設立し、同社の社長としてe-ラーニング業界でリーダーシップを発揮。1997年から99年の間は、Northern Telecom Japanの社長兼最高経営責任者を務め、Northern Telecomに買収されたBay Networksの子会社であるBay Networks Japanとの合併を成功に導く。後にNortel Networks Japanと改名された同社において、01年中旬まで社長兼最高経営責任者を務める。日立電子のミニコンピュータシステムのエンジニアとしてキャリアをスタートした後、Digital Equipment Corporation(DEC)Japanのマーケティング担当取締役などを歴任し、マサチューセッツの DEC 本社にも5年勤務。京都大学で工学士号を取得。
■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・経営者JP主催のセミナー「トークライブ・経営者の条件」との連動企画です。
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