日本に「航空宇宙自衛隊」が本気で必要になる理由 ウクライナ戦争、中国の宇宙進出から読み解く

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――日本のこれからの宇宙安全保障政策は、同盟国のアメリカと一体となって進んでいくと考えてもよいでしょうか。

日本とアメリカでは圧倒的な力の差がある。私はいつも言っているが、日本はアメリカや中国、ロシアのようにはなれない。能力はあるのだが、予算や人材などいろいろなシステムを考えると、アメリカやファイブアイズ(アメリカ、英、豪、加、ニュージーランド)を中心とした西側の世界と協力して一緒になってシステムを構築していくのが基本になると思っている。

――それはミサイル防衛(MD)での日米協力と似ていませんか。

MDに代表される形にはなると思う。通信衛星にせよ、他のいろいろな分野にせよ、スターリンクがアメリカの会社であるように、アメリカとの連携が非常に重要になる。通信衛星を使ったネットワークシステムを含め、アメリカと一緒に構築していく必要がある。

ミサイル防衛で重要な点

――より精度の高いミサイル追尾を目指し、多数の小型衛星で構成される衛星コンステレーションの構築も日米で一緒にやっていきますね。

日本宇宙安全保障研究所(JISS)副理事長の片岡晴彦氏

やはりアメリカと一緒にやっていく必要がある。ミサイル防衛では、ミサイルの早期警戒と追尾の2つがある。

ミサイルの早期警戒は、発射された時に初動探知するものだ。これはすでに静止軌道と(南北両極の上空を通る)極軌道に大型衛星を配備し、問題なく探知できる。その後、向かってきたミサイルを地上レーダーで追尾する。通常の弾道ミサイルだと遠方で探知できるが、これが極超音速ミサイルになると、下を這うようにやって来るので直前にならないと探知できない。それを何とか解決するために、アメリカはミサイルの初動探知と追尾を宇宙からやろうということで、低軌道の小型衛星で構成されるNational Defense Space Architecture (NDSA:国防宇宙アーキテクチャ)の構築を進めている。

早期警戒の部分は、大型衛星を静止軌道と極軌道に配備することで問題ない。一方、追尾の部分は、追尾をするトラッキング・レイヤーと、探知したデータを数珠つなぎで送っていくトランスポート・レイヤーの2つの層に衛星を配置する計画をアメリカが今、進めている。

これには膨大な数の衛星を低軌道に配置することが必要になる。これは日本単独では絶対に構築できない。ミサイル防衛については、アメリカとどのように早期警戒、探知、追尾の部分で役割分担を行っていくのかが非常に重要だ。

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