日本に「航空宇宙自衛隊」が本気で必要になる理由 ウクライナ戦争、中国の宇宙進出から読み解く

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写真はスペースX社が建設中の発射施設(© 2021 Bloomberg Finance LP)

ロシアによるウクライナ侵略では、宇宙から地上を監視する衛星が威力を発揮し、戦況に大きな影響を与えている。衛星画像によって、ロシア軍の規模や動きが丸裸にされてきたからだ。

ウクライナの人々は、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が経営する宇宙企業スペースXが提供するインターネットサービス「スターリンク」にアクセス。戦時情報を得るだけでなく、SNSで同国の被害状況を世界中に発信するプラットフォームとしても大いに利用してきた。

陸、海、空に次ぐ、「第4の戦場」と呼ばれる宇宙。しかし、宇宙安全保障をめぐる日本の対応は、米中露といった主要国と比べて大きく後れを取っている。

航空自衛隊トップである航空幕僚長を務め、日本宇宙安全保障研究所(JISS)副理事長の片岡晴彦氏に日本の宇宙安全保障の現状と課題について話を聞いた。

片岡氏は、安全保障の観点から日本が宇宙にどう取り組むのかについて明記する「国家宇宙戦略」策定の必要性を強調。アメリカをはじめとする諸外国との多国間協力で宇宙システムを早期に開発・運用するよう訴える。

スペースXなど商業宇宙活動の安全保障での活用が必要

――ウクライナ戦争では、民間通信会社の衛星画像がロシア軍の動きを丸裸にし、威力を発揮していますね。

アメリカ政府は衛星や通信傍受で得た戦術情報をリアルタイムでウクライナに提供している。イーロン・マスク氏が率いるスペースXは、スターリンクをウクライナに提供し、5000台以上の送受信機を支援したことで、ウクライナ軍は安定的な通信環境を確保した。

ここ5~6年、宇宙における商業活動が非常に活発になってきた。スペースXはその典型だ。通信衛星ではスペースXのスターリンクやイギリスのワンウェブ。光学衛星ではアメリカのプラネット。SAR(合成開口レーダー)衛星では、アメリカのカペラ、フィンランドのアイスアイがある。

これからは安全保障の分野でも、商業宇宙活動を積極的に利用していかなければならない状況に移行してきている。昔より商業・民生と安全保障が一体となっていく可能性が非常に強くなってきている。これは避けて通れない宿命みたいなものだ。

衛星技術や衛星システムはデュアルユース(軍民両用)だ。切り分けるというのはなかなか難しい。

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