「日経平均2万6000円台」は絶好の買い場の可能性 外国人の日本株への見方は変わりつつある
もうひとつ、日本市場をめぐっては重要な変化がある。6月7日には「骨太の方針」の策定と岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の実行計画が閣議決定された。
ポイントは、①人への投資(非正規を含めた転職支援、資産所得倍増プランなど)、②科学技術(量子、AI、バイオなど)、③新興企業(スタートアップ支援5カ年計画など)、④脱炭素・エネルギー(新国債、再エネ・原子力、脱ロシアなど)、⑤安全保障(5年以内抜本強化、AI・無人機、半導体)、⑥財政(財政健全化など)、の6つだ。
ちなみに、日本経済新聞では、岸田政権の政策評価について、資産運用会社8社(私を含む8名)をアンケート調査・取材している。それによると、8社とも政権発足時よりも期待度が高まっている結果だった。
例えば、2021年9月の自民党総裁選で公約していた「金融所得課税の見直しなど『1億円の壁』の打破」は、今回の政府実行計画では、マーケットに配慮して削除された。これは市場コンセンサスどおりだが、確認の意味も込めて評価したい。
また当初は「分配機能を強化して所得を引き上げる『令和版所得倍増』を目指す」という「分配論も」、「貯蓄から投資のための『資産所得倍増プラン』を年末に策定」に修正された。このため、期待は来年の2023年以降に持ち越しになるが、前向きに注意深く見守りたい。
「インベスト・イン・キシダ」への期待が高まる
このように、岸田政権は当初 「分配重視」を掲げたが、修正によって市場の評価が高まっている。私に関して言えば、発足時の60点から現在は80点と期待度を上げており、人への投資、スタートアップ支援、防衛力の抜本強化に期待している。
周知の通り、5月5日、岸田文雄首相は、英国の金融街シティーで「日本はこれからも力強く成長を続ける。安心して投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」と日本への積極投資を呼びかけたのは記憶に新しい。
これは、安倍晋三元首相がアメリカのNY証券取引所で呼びかけた「バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)」を彷彿とさせる演説だったが、岸田首相も英国での演説を通して、大きく現実路線に舵を切ったとみるべきだろう。
今回の「骨太の方針」の策定と「新しい資本主義」の実行計画によって、岸田政権はようやく力を注ぐ課題や政策の方向性を示した格好だ。7月10日の参議院選挙後の8月頃には各省庁が予算の概算要求があり、年末に政府予算案が決定され、来年2023年1月以降に通常国会で予算案が審議される。具体的に内外の投資家の期待にどう応えていくのか期待したい。
もし岸田政権が本気で日本を「改革」(リフォーム)することができれば、日本株への外国人投資家による見直し買いも進むと考えている。外国人投資家は昨年11月から5カ月連続で売り越しだったが、どうやら日本へのスタンスを変えつつあるようだ。
ウクライナ危機の長期化で、欧州株は買いにくい。一方、日本に目を転じればインフレ率もアメリカや欧州に比べまだまだ低い。年初からの急速な円安で、ドル建てで見た日本株はかなり割安だからだ。今後日本株が一段と底堅くなることを期待したい。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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