40歳目前になり、その女友達が1人また1人と結婚をして「遊び相手」がいなくなってきた加奈子さん。3人の子どもがいる妹家族と親しく交流していたこともあり、「自分の子どもがほしいかも」と思い始めたという。これが2020年代の空気なのだろうか。筆者の感じ方だが、2000年代あたりまでは30歳目前で結婚せねばという駆け込み需要が結構あった気がする。晩婚化の進展を感じるコメントだ。
結婚相談所で加奈子さんが設けた条件は「年収」
「さすがに『誰か紹介して』とは周囲に言いづらい年齢です。変なところで婚活して無駄や失敗をしたくないので結婚相談所に登録しました」
加奈子さんが設けた条件は年収である。当初は年収1000万円以上の男性会員だけを検索してお見合いを申し込んでいたという。
「私も営業担当をしていた頃は1000万円ぐらいもらっていたからです。自分よりは多く稼いでいてほしいな、と。生活にお金は必要ですし。でも、内勤になったら年収が一気に600万円ぐらいまで落ちました。相手に求める条件も700万円ぐらいに一度下げ、それから800万円から900万円台に戻しました」
株価を語るような口ぶりである。それでも30人以上と会えたのは、やはり加奈子さんが目立つほどの美人だからだろう。また、年齢や結婚歴、子どもの有無などは問わなかったという。
「お子さんがいる人はむしろいいかも、と思っていました。自分の家族が欲しいので」
血のつながりなどは気にしない合理的な加奈子さん。一方で、人と一緒にいるときの沈黙が苦手、といった繊細さもある。お見合いを繰り返す中で、そんな自分と感覚がすごく似ている人と出会った。文夫さんではなく、5歳上の男性だった。
結果としては文夫さんのほうを選んだ加奈子さん。「似ているところもあるけれど、ちょっと違うところも多い。やたらに真面目できちんとしている」と文夫さんを評する。かなり大ざっぱだと自覚している加奈子さんは「お互いにストレスはないけれど刺激にはなる」相手を選んだのだ。
文夫さんの真面目さは「慎重で凡庸」という意味ではない。むしろ「やると決めたら損得を考えずにとことんやる」タイプだ。婚活においても、担当カウンセラーの指導を仰ぎながら専用ノートとファイルを作ってすべてのお見合いを記録。相手を見る目を養ったと振り返る。ちなみに加奈子さんはメモすら残していない。
仕事に関しても集中力を発揮して、顧客に関わることや参加している経済団体での活動には惜しみなくお金を投じている文夫さん。真剣な交際を始めてから婚約に至るまでの半年間、加奈子さんが不安に感じていたのは文夫さんの貯金の少なさだ。
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