他人同士が結ばれて家族になる。その「化学反応」の結果は一般人の想定内であるはずがない。想定外の幸せを手にできるのが結婚の醍醐味なのだと思う。
2年前、さえない風貌の「おじさん」とボランティア精神で結婚してあげたという岡村亮子さん(仮名、39歳)。今ではむしろ自分のほうが救われていると驚いている。
「修道女みたいに暮らそうと思って…」
「離婚歴があって、年を取っていて、仕事も辞めちゃって、何も残っていなかった私は修道女みたいに暮らそうと思っていたんです。だから、薄毛でお洒落でもなくて薄給の夫と付き合いました。修業なので付き合ったら結婚してあげなくちゃいけません。今考えると夫に失礼な話ですよね。私、どうしてあんなに上から目線だったんだろう……」
ショートカットで若々しい雰囲気の亮子さん。言葉を選んでいるようで選んでいない。誠実なのにやや軽薄なところが魅力であり、他人から侮られてしまうこともありそうな女性だ。
九州で生まれ育った亮子さん。1回目の結婚は20歳のときだった。高校卒業後に関西地方の菓子店で働いていた頃、友人の紹介で5歳上の会社員と知り合った。地元出身の修平さん(仮名)だ。
「なんで結婚しちゃったんですかね。若かったから、お互いをよく知らず、人を愛することもわからないままに一緒になっちゃいました」
亮子さんは文学や歴史などの文化的なことに関心がある。一方の修平さんはレトロな自動車やバイクが好きで、ヤンチャな雰囲気の友だちが多かった。結婚当初から違和感があったという亮子さんは、結婚生活を重ねるにつれて修平さんが言っていることがよくわからなくなったという。
「結婚して3年目に相手が交通事故で大怪我をして、リハビリに2年間もかかりました。もしかすると今でも後遺症があるかもしれません」
修平さんの怪我によって2人の絆は強まることはなかった。それどころか修平さんは亮子さんの「カチンとくる」言動に激怒して暴力を振るうようになった。
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