旅先で「1万円貸して」から結婚に至った2人の顛末 トラブルから2年後、思わぬ展開に…

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旅先での出会いから事実婚→結婚に至った2人の経緯とは? (イラスト:堀江篤史)

JR東海道線沿いの町に来ている。観光客も多い商店街で「シラス丼」が美味しいという喫茶店を指定してくれたのは本田留美さん(仮名、52歳)。ヒッチハイクで出会った達夫さん(仮名、44歳)と事実婚8年目、という経歴に興味を持ってインタビューを申し込んだところ、「先月入籍しました」という返信が来た。どんな人たちなのだろうか。

2人の出会いはヒッチハイクの旅の途中

「埼玉の実家暮らしには閉塞感があって20歳のときに家出しました。芸術系の大学に通っていましたが、家出したくせに親に学費を払ってもらうのはおかしいと思って中退。曜日ごとに違う人の家を泊まり歩く生活を続けていました!」

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婚活以外にも話したいことがあふれて止まらない様子の留美さん。10代の頃から多感すぎる人だったようだ。高校時代の教師から「戸籍制度は効率的に徴税するために国家が作った制度にすぎない」と教わったときから結婚願望がなくなったと平然と語る。

「サザエさんの影響もあります。ノリスケさんが『今日はタイコがうちにいないんですよ~』と酒場でうれしそうにしているシーンを見たんです。妻に飽きるぐらいならば結婚しなければいいのに、と思いました」

留美さんは感受性だけでなく行動も激しい人だ。20年前に母親が亡くなったことをきっかけに葬儀関連のフリーランサーになり、全国で研修を受けて腕を磨いてきた。そのついでに旅行することも少なくない。2012年、北海道の酪農家の跡継ぎだった達夫さんとの出会いも旅の途中だった。

「吉村昭『海の祭礼』の舞台を見たくて利尻島を目指したんです。でも、バスを乗り違えて別の場所に行ってしまいました。バスを降りたときは吹雪の夜。でも、北国の駅にはストーブがあります。生命は確保したと思って、ヒッチハイクで旅を続けることにしました」

知的なようでいてそうでもない無茶苦茶な旅である。そのときに車で通りかかったのが地域住民の達夫さんだった。

「こんな場所に女の人が夜中に立っているのは危ないなー、と思いました」

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