老後には2000万どころか「4000万円」は必要なワケ 月15万円あれば十分という人でこれくらい必要

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加速するインフレで、将来のお金に関する不安はつのるばかりです(写真:Luce/PIXTA)
加速するインフレで「将来のお金」について不安を持つ人も増えているだろう。
「貯金だけでは明らかに老後は苦労する」と断言するのは、投資家としても知られる会計学博士の榊原正幸氏だ。同氏はこれからの日本人に投資が必須であること、中でも「自分の期待利回りを知る」ことが重要だと話す(本記事は『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』の内容を抜粋・編集したものです)。

老後2000万円不足問題の真実

「老後に2000万円ものお金が不足する」という話を、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。これは、2019年に発表された政府の報告書の内容によるもので、「え! 老後に2000万円ものお金が必要なの!? 聞いてないよ~! 国はどうしてくれるんだ!」と世間は大騒ぎしました。

正直、この「2000万円」という数字が独り歩きしてしまった感がありますが、この報告書(正式名称「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」)は、「老後を支えるためには、各自が資産運用をしていかなければなりませんよ」ということを啓蒙したもので、きちんとした識者によって誠実に書かれたものです。

実際、これからの時代は、資産運用は「ありき」です。運用なしには、老後の生活設計は語れないのです。それはまったくその通りなのですが、問題はこの「2000万円」という数字ですら、実は足りないかもしれないということです。

ざっと計算してみましょう。現在、夫が65歳で妻が60歳とします。そして、もし男性でも90歳まで、女性の場合は95歳まで生きるとしたら、夫が70歳まで、妻が65歳まで共稼ぎで働いたとしても、夫婦で残り20年、それにさらにあと10年は奥様だけで生活していくことになります。

夫婦合計の年金収入が月に20万円で、生活費が月30万円として、奥様だけの時の年金収入が月10万円で、生活費が月15万円とします。夫婦での20年間は毎月10万円、20年で2400万円が必要となり、最後の10年(奥様だけの期間)は、毎月5万円不足しますから、10年で600万円が必要となり、総合計で最低でも3000万円は必要です。

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