老後には2000万どころか「4000万円」は必要なワケ 月15万円あれば十分という人でこれくらい必要

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こういう話をすると、よく出てくるのが「日経平均株価にアウトパフォームかアンダーパフォームか」というような議論です。すなわち、自分が達成した利回りが日経平均株価の騰落率よりも上回った(アウトパフォームとなった)か、下回った(アンダーパフォームとなった)か、ということなのですが、そんなことはあまり気にしなくてもいいのです。

日経平均株価は、マイルドなインフレを前提とするならば、ざっくり言えば結果的な平均値として年率で1~3%くらいは上昇していくことになるでしょうから、市場参加者の平均的な利回りも、そのくらいは達成できることになるのでしょう。

アウトパフォームできなくても悲観しなくていい

ただ、そういったことよりも大事なことは「生活実感として、期待した利回りがちゃんと出せたかどうか」なのです。

平たく言えば、「自分の期待利回りが4%だとして、投資資金が5000万円だとしたら、長期的かつ平均的に毎年200万円の利益を出せるかどうか」が重要だ、ということです。それも「平均で」なので、利益が100万円の年もあれば300万円の年もあっていいというわけです。

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なお、株式投資の利回りが日経平均株価の騰落率よりも上回る(アウトパフォームとなる)投資家というのは、プロのファンドマネージャーの中でも、上位5〜10%くらいしかいないといわれていますので、アウトパフォームできなくても、悲観する必要はないと思います。

つまり、大事なことは「生活実感に合わせたざっくりとした利回り計算」でいいので、自分が達成できる期待利回りを把握することなのです。そうすれば、それをベースとした運用成績が期待できるようになり、インフレが起きようと、老後の経済設計は安定します。

私が大学院生の頃に、同期の友人から聞いた英語の格言に「The assets you never lose are knowledge and expertise」というものがあり、私はとても気に入っています。訳すと、「あなたが失わない財産は、知識と専門能力だ」となります。

「運用能力」という「専門能力」は、ひとたび身につけてしまえば、失うことはないのです。だから、老後の経済設計が安定するのです。

榊原 正幸 マネー評論家

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さかきばら まさゆき / Masayuki Sakakibara

名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。1993年、日本学術振興会特別研究員となり、その後、英国レディング大学に入学。帰国後の1997年より東北大学経済学部助教授。2000年、日税研究賞を受賞。2001年、英国レディング大学大学院より博士号を授与される。同年、税理士資格を取得。2003年、東北大学大学院経済学研究科教授。2004年4月、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。2021年3月に退任し、東京を拠点にしてファイナンシャル教育の普及活動を続けている。会計学博士。『株式投資「必勝ゼミ」』『現役大学教授が教える「お金の増やし方」の教科書』など著書多数。

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