自分の過去も露わに?顔認証サイト恐ろしい実態 正確で悪質なストーカーツールに記者も驚愕

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似たような顔認識ツールには、法執行機関のみが利用できる「Clearview AI(クリアビューAI)」があるが、クリアビューAIと違ってピムアイズの検索結果にはソーシャルメディア上の写真は含まれない。ピムアイズはときとして驚くような画像を見つけ出すが、それらはメディアの記事や結婚式写真のページ、レビューサイト、ブログ、ポルノサイトから出てきたものだ。

ニューヨーク・タイムズが記者十数名の顔写真を検索したところ、表示結果の大部分が本人の顔と一致した。女性記者の場合、本人と違う検索結果の多くはポルノサイトから来ていた。

ただ、間違った検索結果であっても「本人かもしれない」という可能性が浮上してしまうため、落ち着かない気分にさせられた(誤解のないように断っておくが、ポルノサイトから見つかった画像はどれも女性記者本人を写したものではなかった)。

不適切な利用を防ぐ措置がまるでない

ピムアイズのオーナー、ジョルジ・ゴブロニーゼは34歳の研究者。祖国ジョージアに対するロシアのサイバー攻撃がきっかけで、先進技術に関心を抱くようになったと言う。

ピムアイズは人々に利益をもたらす道具だというのがゴブロニーゼの立場で、ネット上での自身の評判を監視するのに役に立つ、と話した。例えば、カメラマンが宣伝に使っている写真が気に入らない先述の記者は、ピムアイズのおかげで、その写真をイェルプのページから削除してもらうようカメラマンに頼むこともできるというわけだ。

ピムアイズの利用者は、自分自身、または同意を得た人物の顔しか検索してはならないことになっているとゴブロニーゼは述べている。しかし、ピムアイズは群衆の中で個人が匿名でいられるという長年保たれてきた状況を侵食するものであるにもかかわらず、不適切な利用を防ぐ措置をまったくといっていいほど講じていない。

利用者が「倫理的に」行動するという前提に立っているのだ。同サイトは他人の顔の検索を防ぐ規制をまったく行っていないうえ、羽目を外した夜に撮られた不名誉な写真に一生付きまとわれたくなければ高い料金を払え、と利用者を誘導するようなこともしている。

「運営側が何と言おうが、ストーカーウェアだ」。プライバシー擁護団体、ヨーロピアン・デジタル・ライツの政策顧問エラ・ヤクボウスカはそう断じる。

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