自分の過去も露わに?顔認証サイト恐ろしい実態 正確で悪質なストーカーツールに記者も驚愕

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ピムアイズには、同サイトから自身のデータを削除してほしいという利用者のために無料の「オプトアウト」も用意されており、これは顔写真の検索にも適用される。このオプトアウトを受けるため、スカーレットは公的な身分証明書のスキャン画像と10代のころの写真を提出。ピムアイズからは4月初旬にオプトアウト依頼が受理されたという連絡を受けていた。

「あなたの顔が含まれている可能性のある結果は、当システムから削除されています」。ピムアイズのからのメールにはそう書かれていた。

「限りなく違法なサービス」に当局は?

ところが、その1カ月後、ニューヨーク・タイムズが本人の同意を得てスカーレットの顔をピムアイズで検索すると、性的な画像も含めて100件以上の検索結果が表示された。

これに対し、ゴブロニーゼは「それは悲しい話だ」とコメント。オプトアウトを使っても顔の検索を止められるわけではないと説明した。これは、オプトアウトした時点で「類似レベルが高い」とされた顔写真をピムアイズ上で検索できなくするためのものにすぎないと言う。つまり、ピムアイズの検索から逃れ続けるには、自分の写真を大量に使って、オプトアウトを定期的に繰り返すしかないわけだ。

ゴブロニーゼは「倫理的な利用」を望んでいると話した。検索は自分の顔だけにしてもらいたい、という意味だ。

しかし、ピムアイズはそのための努力をほとんどしていない。せいぜい、顔写真をアップロードする際に、それが本人のものであることを確認するボックスを表示させる程度の対策だ。

プライバシーについて研究しているコーネル大学教授のヘレン・ニッセンバウムは、「ばかげている」とピムアイズの取り組みを一蹴。オプトアウト時にスカーレットに要求したのと同じく、ピムアイズで検索を行う人にも公的な身分証明書の提示を求めるべきだと話した。

ピムアイズより知名度の高いクリアビューAIは、ヨーロッパなど世界各地で強い逆風にさらされている。200億枚の顔写真を保存しているクリアビューAIのデータベースは、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパの一部のプライバシー規制当局から違法とされ、同社は画像の削除を命じられている。イタリアとイギリスでは数千万ドルの制裁金を科せられた。

ピムアイズについても昨年、ドイツのデータ保護当局が調査の開始を発表。生体データの利用について厳格なルールを定めているヨーロッパのプライバシー法「一般データ保護規則(GDPR)」に違反している可能性があるとされ、調査は継続中となっている。

(執筆:Kashmir Hill記者)
(C)2022 The New York Times

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