自分の過去も露わに?顔認証サイト恐ろしい実態 正確で悪質なストーカーツールに記者も驚愕

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自分の顔写真などをアップロードすると、ネット上に掲載されていて、似ているとみなされた顔が写った写真が瞬時に検索されるピムアイズのサービスがはらむ大問題とは(写真:プリムアイズのホームページより)

1カ月29.99ドルを払って「PimEyes(ピムアイズ)」というウェブサイトを使えば、SF作品のような危険なスーパーパワーが手に入る。その能力とは、人の顔を検索し、その人物が写った写真を見つけるというもの。ピムアイズの手にかかれば、広大なインターネット空間に埋もれて本来なら人目につかないような画像まで発見されてしまう。

検索に必要な時間はわずか数秒。顔写真をアップロードし、利用規約に同意する欄にチェックを入れると、似ているとみなされた顔が写った画像の一覧が掲載場所のリンクとともに表示される。ニューヨーク・タイムズはその威力を試すため、本人の同意を得た上で記者数十人の顔を検索してみた。

すると、ピムアイズは全記者の写真を発見。中には本人が一度も見たことのない写真もあり、サングラスやマスクを着用していたり、カメラから顔を背けていたりしたときに撮影された写真までひっかかってきた。

次々と掘り起こされる同僚たちの過去写真

ピムアイズが見つけ出した写真は次のような感じだ。ある記者が10年ほど前に美術館で行われたイベントで踊っている写真。同じ記者がプロポーズされて泣いている様子を捉えた写真もあった。本人が特に気に入っている写真ではないが、撮影したカメラマンが自身のビジネスを宣伝するため口コミサイトのYelp(イェルプ)上で使ったものだった。

あるテクノロジー担当記者は、彼がまだ若かったころの姿が2011年の音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」の観客の群れの中から見つかった。ある海外特派員は、数え切れないほどの結婚式写真に写っていた。どのパーティでも盛り上げ役だったのだろう。この特派員は、ギリシャの空港で他人を撮影した2019年の写真のぼやけた背景に埋もれた顔まで検索に引っかかってきた。

ある記者は、発掘された写真によってロックバンドに所属していた過去が明らかとなった。ピムアイズのせいでお気に入りのサマーキャンプ場がばれてしまった記者もいた。

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