自分の過去も露わに?顔認証サイト恐ろしい実態 正確で悪質なストーカーツールに記者も驚愕

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コンピューターエンジニアのシェール・スカーレットは数カ月前に初めてピムアイズを使ったが、そのせいで記憶から消そうと苦しんできた人生の1ページと直面させられることになった。

2005年、当時19歳だったスカーレットは経済的に困窮し、お金のためにポルノに出演しようと考え、ニューヨークまでオーディションに出向いたことがある。しかし、そこであまりにも屈辱的な体験をさせられたため、ポルノ出演のアイデアは捨てた。

10年前のトラウマが掘り返された

ピムアイズが掘り返したのは、そうした10年以上前のトラウマだ。検索結果には、彼女の性的な画像が見られるサイトのリンクも貼られていた。現在のスカーレットは労働運動に関わっており、アップルで自らが主導した有名な労働争議によりメディアから注目される存在となっているが、ピムアイズの検索結果には過去の性的な画像が入り交じっていた。

「こんな画像がネットに上がっているなんて、そのときまで考えもしなかった」とスカーレット。

世の中の反応が不安になった彼女は、直ちに画像を削除する方法を探し始めた。スカーレットは、このときの経験をMedium(メディアム)への投稿やCNNで語っている。ピムアイズで見つかった露骨な画像をクリックするとポップアップメニューが立ち上がり、画像が存在するサイトのリンクと併せて、ピムアイズの「公開結果から除外する」というオプションが表示された。

ところが、このオプションは月額89.99~299.99ドルの「PROtectプラン」の契約者しか利用できないことがすぐに明らかとなる。結局、最も高額なプランに申し込むことになったスカーレットは、こう言った。「これって、ほとんどゆすりじゃない」。

ゴブロニーゼは、「ゆすり」と呼ばれることに同意しない。その証拠として彼はピムアイズの検索結果を削除する無料ツールに言及したが、その存在はピムアイズ上でしっかりと告知されているわけではない。ゴブロニーゼは、スカーレットが支払った299.99ドルの利用料を4月に返金したという明細も提示して見せた。

ゴブロニーゼによると、ピムアイズの契約者は数万人で、アクセスはアメリカとヨーロッパからのものが大半だという。収益の大部分はPROtectプランの契約者からもたらされており、そこにはピムアイズのサポートスタッフによる外部サイトの写真削除支援プランも含まれる。

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