公共サービスが壊れる! 各地で相次ぐダンピング受注、官製ワーキングプアが蔓延
「ATG社の法人登記によると、本店は東京都渋谷区元代々木町になっている。しかし、関係者がその住所を訪ねても存在を確認できなかった。商業登記の事務を受託した企業が、自ら虚偽の登記をしている。こんなことを許していいのか」
仙谷法務相は「曰(いわ)くつきの業者が参入してくるとしたら、由々しき事態。徹底調査する」と答弁した。
法務省による調査の結果、両社とも本店を登記した場所に事務所が存在しないことが判明。しかし、法務省は、登記を改めさせるだけで、おとがめなしとする方向だ。
一方で、新たな疑惑も持ち上がっている。アイエー社、ATG社とも同名の企業がそれぞれ2社ずつ存在し、役員も重複していることが判明したのだ。
法務省によれば、登記事務の委託契約を結んだのは、港区虎ノ門に本店を置くアイエー社(池田賢白無限責任社員)。しかし、その場所に同社の実態はなく、もう一つのアイエー社(池田賢白代表社員)が本店を置く世田谷区北沢で業務を行っていた。
ATG社についても、法務省が契約を結んだ渋谷区にあるはずの企業(岡田照夫代表取締役)とは別の同名企業(池田晋悟代表取締役)が京都市右京区に「本店」を置いていた。
ちなみに、高橋さんや川口さんの健康保険証に記載されたATG社の事業所所在地は「京都市右京区……」と記されていた。こうしたことから、高橋さんらの雇用主は法務省が契約を結んだATG社ではない疑いも浮上している。
労働者集まらず契約辞退 危うい公共サービスの質
「有限会社ネットワーク」(池田学司代表取締役)という企業も問題含みだ。昨年8月時点で同社は、アイエー社、ATG社とともに「GROUP IAC」という企業グループに所属していたことが当時のホームページで判明している。その後、同社はホームページから姿を消した。だが、同社の本店所在地には現在もATG社の事務所が置かれている。