公共サービスが壊れる! 各地で相次ぐダンピング受注、官製ワーキングプアが蔓延

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不動産や法人の登記事務は、経済活動が円滑に営まれるために、極めて重要なシステムだ。万が一、間違って登記されたり、あるはずの所有権が「存在しない」とされたりした場合、国民の財産に深刻な被害が発生しかねない。

その登記事務の担い手である700人近いベテラン職員が3月末に仕事を失う瀬戸際に立たされている。

「国(法務省)は645人を失職させるな。国は雇用責任をとれ」

昨年12月16日、法務省前で横断幕を掲げて抗議行動を行ったのは、全国各地の法務局に置かれた登記所で事務の一部を受託している「財団法人民事法務協会」(以下、協会)の職員たちだ。抗議行動の中心となった協会労働組合の衛藤喜代美委員長は、「法務行政のために長年頑張ってきた労働者を一方的に切り捨てるのは許せない」と語気を強めた。

民間組織である協会が登記事務の一部を担うようになったのは1971年。2年前の69年に「総定員法」が施行され、行政サービスの事務量拡大とは裏腹に、国家公務員の定員は年々削減されるようになった。その矛盾を解決するために編み出されたのが、財団法人を設立して登記事務の一部を担わせる手法だった。

しかし、ここ数年、「随意契約で業務を独占している」「法務省OBの天下り先になっている」といった批判が与野党議員から続出。協会が担ってきた「乙号事務」と呼ばれる登記簿の閲覧や登記事項証明書の発行事務が、2006年に施行された「公共サービス改革法」(市場化テスト法)の対象になり、一般競争入札が07年度から本格実施された。

この入札での敗北が相次ぎ、協会は手掛けていた業務の大半を失うことになった。10年度実施の入札で落札できたのは47法務局・地方法務局(297登記所)のうち、釧路と松山の2局(7登記所)のみ。甚大な影響を被るのは、天下りとは無縁で女性が大半を占めるプロパー職員だ。

プロパー職員の多くは、勤続年数20~30年でありながら、年収300万円程度。「すでに過去3年で約700人の職員が失職しているうえ、さらに700人近くが職を奪われかねない状況にある。シングルマザーや単身者も多く、一家の大黒柱として家計を支えている人も少なくない」(杉浦真由美・協会労組書記長)。

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