公共サービスが壊れる! 各地で相次ぐダンピング受注、官製ワーキングプアが蔓延

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 「アイエーカンパニー合資会社」(以下、アイエー社)が受託した関東地方の登記所に昨年4月に採用された高橋春子さん(仮名)は、給与明細書を見て不信感を募らせた。

4月分の健康保険料や厚生年金保険料の控除額がともにゼロ円だったためだ。不審に思った高橋さんが年金の加入状況を調べたところ、未加入だったうえ、5月以降の標準報酬月額も、実際の月の給料(約22万円)と大きく異なる最低ランクの「9万8000円」にされていた。「これでは将来の年金の受取額が少なくなるため、会社には訂正するように何度も求めてきた。しかし今も放置されている」(高橋さん)。

高橋さんがおかしいと感じた点はほかにもあった。給与の支払者がアイエー社ではなく、「ATG company株式会社」(以下、ATG社)になっていたのだ。年金保険料の納付記録でも、勤務先の名称はATG社。「知らぬ間に別の企業に雇われていた」と高橋さんは語る。

ほかの社員にも不自然な手続きがあった。ATG社が受託した登記所に勤務する川口真世さん(仮名)も健康保険、厚生年金の未加入があったうえ、厚生年金の標準報酬月額は高橋さんと同じく最低額のまま。厚生年金の場合、企業は社員と同額の保険料を拠出しなければならないため、ATG社は全額を納めていない疑いも持たれている。

登記事務の受託企業が会社登記簿を虚偽記載

アイエー、ATG両社については本店所在地に事務所が実在しない疑いも持ち上がった。昨年11月25日の参議院法務委員会で、井上哲士参議院議員(共産党)が仙谷由人法務相(当時)に問いただした。


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