公共サービスが壊れる! 各地で相次ぐダンピング受注、官製ワーキングプアが蔓延

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安値受注が続発 残業代不払いも横行

「許せないのは、合意のうえで退職に持ち込もうとする協会の姿勢だ。雇用継続のための努力も見せていない」と、杉浦書記長は続ける。協会が示した案によれば、落札できなかった登記所に勤務する職員のうちで配置転換による雇用継続者はわずか42人。大量失業が目前に迫る。

協会の「生みの親」である法務省も、突き放した姿勢を示す。組合側の団体交渉申し入れに対して、「国家公務員法に基づく職員団体に当たらない」と拒否。そのうえで「雇用のあり方は、使用者である協会が決めるべき」としている。労組は団交拒否などを理由に、協会と法務省の両者を相手取って東京都労働委員会に救済申し立てを提起した。

協会職員としての仕事を失ったとしても、落札した民間企業の求人に応募する道はある。だが、そこで待ち受けているのは劣悪な雇用条件だ。

今年度実施の入札で落札した派遣会社がハローワークを通じて公表した募集内容によれば、東京都内の各登記所の「業務管理者」(1日7時間45分、週5日勤務)の場合でも、時給は1100~1200円。パートタイムに至っては900~950円と少ない。そのうえ、「通勤交通費が支給されないため、実質的に最低賃金を割り込む可能性もある」(協会職員)。こうしたことから、再就職をためらう職員は少なくない。

一般競争入札の結果、「乙号事務に関する1年間の経費削減効果は44億円に上る」と法務省は試算している(下表)。だが、行政コストの低下は、際限のない安値受注による雇用の質の悪化と裏腹の関係にある。特に今年度実施の入札では、予定価格が大幅に下げられたことから、落札企業が決まらない事例が続発。1回目の入札で参加企業12社すべてが予定価格をオーバーしたり、同じ日に6回も入札が行われる事態も起きた。落札した企業は極端に低い賃金で人材募集を行っている。

事務を受託した企業の中には、残業代不払いや厚生年金や健康保険未加入、実態とは異なる金額での年金保険料納付などの違法行為を繰り返す企業もすでに現れている。


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