日本株がアメリカ株よりも底堅い「3つの理由」 ドル高円安だけではない株価の上昇要因とは?
通関時に適用された為替レートは1ドル=122.8円、前年よりも12.1%ほど円安であったから、円安による売上高のかさ上げ効果が強く発現したことがわかる。円安は、海外子会社の収益増加につながる効果もあるため、これらを踏まえると製造業にはプラスと考えられる。3月下旬以降の円安進行に伴って日本株の底堅さが目立つようになったのは単なる偶然ではないだろう。この間、海外投資家は日本株を5月1週目まで6週連続、累積約1.6兆円買い越した。
次にマクロファンダメンタルズの方向感が上向きである点も大きい。アメリカは高インフレに直面し、消費者マインド(ミシガン大学調査)はリーマンショック時のボトムに接近。GDPの約7割を占める個人消費の先行きは心もとない状況にある。
アメリカにおいて個人消費の失速は景気後退そのものであるから、投資家は単なるマインド悪化指標として軽視することはできない。その他ではISM製造業が下向き基調にあるほか、中古住宅販売件数や建設業者の景況感指標(NAHB住宅市場指数)が急激な落ち込みを示している。
日本はようやく経済再開で景気回復の兆し
そして欧州はウクライナ危機の影響が色濃く発現し、景気の息切れ感も強くなっている。企業景況指数(PMI)はサービス業が回復基調にある反面、製造業は低下に歯止めがかかっていない。またドイツのIfo企業景況感指数は先行きの警戒を示す指数が極めて低水準にあり、景気の下振れリスクがくすぶっている。
この間、中国は不可解なほど厳格なロックダウンによって経済活動は急激に縮小している。4月の経済指標が軒並み下振れたことを受けて、政策当局は20日に5年物金利(ローンプライムレート)を引き下げ、景気を刺激する構えを見せた。また上海のロックダウンは実質的に6月1日に解除されたが、少なくとも5月分の経済指標は悪化する蓋然性が高い。
さて、そうした中で日本はどうであろうか。欧米諸国に比べ遅々として進まなかった経済再開がようやく進展しつつある。速報性と予測精度に優れた景気ウォッチャー調査が改善傾向にあるほか、PMIは5月も改善傾向が続いた。特にサービス業PMIは欧米との格差縮小を伴っている点で方向感の良さが目立つ。
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