職人軽視の日本人が、建設業をダメにする 夢や誇りを持てなければ若者は集まらない

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一方、スウェーデンで大工の公的資格を得るには、専門学校(3年)を卒業したあと、公的資格を持つ大工の下で6500時間以上働くことが条件となる。大工の平均年収は35万クローナ(約500万円)で、ノルウェーで働くと物価なども高いぶん、15~20万クローナ多く稼げるとか。住宅会社とは年間契約で、在職中は週休2日、さらに5週間の長期休暇も取得できる。

「大工の専門学校は人気が高く、いつも定員いっぱい。長期休暇には家族と友人でハンティングや釣りを楽しむよ」

かつての日本人大工は違った

(写真:YNS / Imasia)

日本でも20年以上前は大工に高い給与が支払われていた。ピーク時には年160万戸も作られていた住宅も、現在は年80~100万戸。1990年のバブル崩壊後の円高不況で製造業をリストラされた労働者を、公共事業の大盤振る舞いで吸収したのは建設業だが、2000年代に入ると建設業が厳しいリストラを余儀なくされてきた。

日当制の技能労働者は、仕事がなくなれば労務単価をダンピングしてでも仕事を取らざるをえなくなる。2008年のリーマンショック後には、時給500円の「ワンコイン大工」が登場したほど労務単価が下がり、職人が消えていった。日当制が続くかぎり、労働需給のバランスによって収入は不安定にならざるを得ない状態が続く。

元請け業者であるゼネコンが、技能労働者を直接雇用せずに日当ベースでの労務費支払いを続けたいのであれば、技能労働者に適切な仕事量を与え続けることができる労働生産性の高い建設生産システムを構築することが不可欠だ。

2015年の日本建設業連合会の新春懇談会でも、建設労働者の処遇改善とともに「労働生産性をいかに上げるかが重要だ」と清水建設の宮本洋一社長、前田建設工業の小原好一社長らが強調していた。彼らが言う労働生産性とは、職人不足でも効率的にものづくりができることに力点があるようにも感じたが、若年層を含めて優秀な職人を確保し続ける効果も期待できるだろう。

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