あきお(30歳、仮名)は、婚活を始めて1年半が経った。コロナに関係する仕事に就いていたため、なかなか収束しない状況下で仕事が非常に忙しく、思うように婚活ができないでいた。
それが、今年に入ってからコロナも落ち着いてきた感があり、やっと婚活に本腰が入れられるようになった。
そんななかでお見合いをしたさとみ(27歳、仮名)とは、仮交際から順調に関係を育み、2カ月後には、真剣交際へと進んだ。
「仕事をしていても、さとみさんどうしているかなと考えてしまうんです。学生時代に深い恋愛をしたことがなかったし、社会に出てからは仕事一筋で、女性とほとんどお付き合いしたことがなかったから、こんな自分に、驚いています。人を好きになる感情が自分にもあったんだなって、少し不思議な気持ちです」
そんなほほ笑ましいことを言っていた。
お母さんはこの結婚に賛成できません
真剣交際に入ってからは、結婚後に住む場所や仕事をどうするかなど具体的に、2人で話し合うようになった。そして、真剣交際に入ったタイミングで、「結婚したい女性がいる」ということを、地方に住む両親に告げた。
最初はLINEで彼女の簡単な経歴と仕事、どんな性格かを書いて送ったという。すると、メールを送った直後に母親から電話がかかってきた。
「はっきり言って、お母さんはこの結婚に賛成できません」
頭ごなしの反対だった。理由は彼女の学歴と職業だった。あきおは日本でもトップクラスの難関大学を出ており、仕事も名前を出せば誰もが知っている職場で働いていた。
「あなたには、釣り合わない女性ですよ。あなたの経歴なら、お見合い市場ではひく手あまたなはず。なんで、こんな女性を選ぶの?」
反対されるとは思っていなかったので、あきおは戸惑った。しかし、ここで引き下がることはできなかったので、“自分が初めて本気で好きになった女性であること”、“彼女は自分の仕事にプライドと責任と情熱を持って取り組んでいること”を、LINEに書いて送った。
ところが、翌朝、母親の返信にはこうつづられていた。
『お母さんは悲しいです。たまにおかもとくん(高校の同級生、仮名)のお母様には、街中で会ったりするの。お互いの子どもの話になるけれど、「こんな女性と結婚します」なんて、恥ずかしくて言えませんよ』
そこからもあきおは、なんとかこの結婚を認めてもらおうと、母親とやりとりをしていた。また、父親を味方につけたら、母親も折れるのではないかと、あれこれと画策した。
しかし、親に反対されていることを知ったさとみが、何が反対の理由なのかをあきおに尋ねてきた。最初は理由をぼやかして伝えていたのだが、それではさとみも納得しない。そこで、学歴と仕事が反対している要因だと伝えると、彼女は体調を崩してしまった。
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