【産業天気図・鉄鋼】価格転嫁進みバブル期以来の最高益更新、05年度も続伸へ

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鉄鋼業界は絶好調の『快晴』が続いている。自動車、造船、建設機械向けの好調に加え2004年は設備投資の回復によって建設向けが増加。内需は4年ぶりに7000万トンの大台を回復する見通しで、需給の逼迫感は03年度より激化。新日本製鉄、JFEスチールでは年200万~300万トンの注文を断らざるをえない状況で、不足量は業界全体で1000万トンに達するとの見方もある。
 需給逼迫を背景に、価格も急速に回復中だ。04年度は鉄鉱石、原料炭など主原料のほか、スクラップ、合金鉄、フレート(海上輸送費)が軒並み上昇、業界全体で7000億円を上回るコスト上昇となった。一方、販価は需給動向を反映しやすい輸出価格、国内の市況品価格、自動車など大口ユーザー向けのヒモ付き価格の順で値上げが浸透。最も価格の改善が遅れていたヒモ付きも、04年10月分では自動車、家電向け等で今春に続く2回目の値上げが実現した。
 価格の改善効果によって、新日本製鉄の今3月期連結経常利益が期初計画の2000億円(16%増)を上回る3200億円(85%増)と15年ぶりの過去最高益となる。住友金属工業は23年、神戸製鋼所も14年ぶりに最高益を更新。02年に旧NKKと旧川崎製鉄が経営統合して誕生したJFEホールディングスも2年連続の過去最高益クリアが確実。4社合計の経常利益は1兆0050億円とバブル全盛時の5776億円を大きく上回る見通しだ。
 来05年度も、自動車、造船など製造業向けを中心に高水準の需要が続く見込みだ。中国経済の減速が懸念されるが、日本の高炉メーカーの中国向け輸出は自動車、家電用の高級鋼板が中心で中国減速の影響を受ける可能性は小さい。05年度も上昇が予想される鉄鉱石など原料価格上昇をどこまで価格に転嫁できるかが最大の焦点となる。
【野口晃記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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