最新作「ストレンジャー・シングス4」‟重圧"事情 Netflixにとって「失敗が許されない作品」だ

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この製作費増の要因の1つに、各エピソードの尺が前作より伸びたことが挙げられます。第1部は7話あり、そのすべてのエピソードが60分強。7話の「ホーキンス研究所」の回は100分と、ちょっとした映画1本分のボリュームです。長尺ゆえに見始めるのを躊躇してしまうほど。

超常現象ミステリーの魅力いっぱいの4話は神回(写真:Netflix)

しかも、前作までは各エピソードの落ちは必ずと言っていいほど、次のエピソードに盛り込み、「一気見」を促す作りでしたが、シーズン4は余韻を残すのみ。この点も変えています。ヒット作だからできる余裕なのかもしれません。

3話まではオーラがなくなったイレブンにがっかりし、展開が遅いのが気になりますが、セイディー・シンク演じるマックスがフォーカスされる神回の4話以降、巻き返していきます。

よりコアファン向けの内容に

これまでのパターンを崩した作りはほかにもあります。

今シーズンは、舞台がホーキンスにとどまらず、ロシアやカリフォルニアに広がり、それぞれの場所にキャラクターたちが散らばります。新規ファンにも見やすかったシーズン3と比べると、複雑さが増した構成はよりコアファン向けと言えるもの。イレブンの物語、ジョイスの物語など4つの物語が複合的に重なり合い、「ぎっしり感」が強い印象です。その結果、第1部と2部を合わせて13時間超えの長さで「ほぼ2シーズン分の内容になった」と、「ストレンジャー・シングス」の生みの親のクリエイターで製作総指揮も務めるザ・ダファー・ブラザーズがファン向け公式サイト「TUDUM」で明かしています。

クリエイター、ザ・ダファー・ブラザーズの心地よい暴走は新しい怪物「ヴェクナ」にも反映されています。

彼らの説明によれば、シーズン1から登場する怪物「デモゴルゴン」の当初の設定は「スーツを着た男」だったとのこと。当時はお金がなかったため、実現可能な怪物を想定したのです。つまり、「ヴェクナ」の原型です。この構想をシーズン4で復活させるため、チェルノブイリ原発事故を描いたHBOドラマ「チェルノブイリ」で被曝者の特殊メイクを手がけたデザイナー、バリー・ガウアーに依頼し、誕生したのが「ヴェクナ」でした。HBOの名作「ゲーム・オブ・スローンズ」に登場する「ナイトキング」にどことなく似ているのは同じデザイナーだからです。

新しい怪物「ヴェクナ」は“ゲースロ”の「ナイトキング」の特殊メイクデザイナーが手がけた(写真:Netflix)

これまでにない新しさは「ホラー」の表現にもあります。オカルト要素を取り入れ、1980年代ホラーの傑作「エクソシスト」や「エルム街の悪夢」などをオマージュし、見事にハマっています。精神的に恐怖心を募らせる効果を生んで、シリーズ「最恐」と言われていることに納得します。

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