アイスクリームの「コーン」知られざるトップ企業 アメリカ人なら誰もが食べているあのコーン

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(Jennifer Chase/The New York Times)
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その役割は明確である。メインプレイヤーであるアイスクリームを引き立てるように、アイスクリームを乗せて落とさないようにすることだ。だが、支えるのは大変な仕事である。だからこそデビッド・ジョージは、コーンにはもっと敬意が払われるべきだと考えている。

彼は真っ赤なコーンの箱を前にして、「車にはさまざまな工学が関わっていることを知っていますよね」と尋ねる。「シンプルなコーンは単純なようでいて、そう単純ではないんだ」。

北米最大のコーンメーカーの正体

ジョージは北米最大のアイスクリームコーンメーカーであるジョイ・ベーキング・グループの3代目社長だ。ジョイという名前は知らなくても、おそらくそのコーンを食べたことはあるだろう。ミスター・ソフティーもデイリークイーンもジョージの顧客だし、近所のアイスクリーム屋も多分そうだ。

毎年、多くのフレーバーやトッピング、はやりのスイーツなど、アイスクリームの世界が拡大するにつれ、コーンの世界は小さくなる一方である。ジョイは、コーンに求められるのは創造性ではなく親しみやすさであるという大前提に賭けて、コーン市場を独占してきた。

ジョイの工場。右はデビッド・ジョージ社長(Nancy Andrews/The New York Times)

ペンシルバニア州西部にある53万平方フィート(約5万平方メートル)のジョイの旗艦工場(北米に4つある同社のコーン工場の1つ)では、NASAとドクター・スースの合作のような巨大な回転オーブンが24時間稼働して、2月から7月の繁忙期には1日に1500万個から2000万個のコーンを生産している。

サクサクパリパリしたケーキコーン、クッキーのような頑丈なシュガーコーン、口の広いキャラメルの香りのするワッフルコーンなど、さまざまな種類のコーンが作られている。

これらは子どもの頃の夏をイメージしたコーンだ。一切れのパイのように心地よく、綿菓子のように心が躍る。

データ分析を手がけるIRIの2022年4月のレポートによると、ジョイは現在、アメリカの店舗で販売されるコーンの41.3%を製造している。プライベートブランドのコーンも製造しているため、シェアはおそらくそれ以上だろう。

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