アイスクリームの「コーン」知られざるトップ企業 アメリカ人なら誰もが食べているあのコーン
技術者たちはコーンのデザインにも手を加えて、ケーキコーンの底にある格子状のパターンを上に移動させて強化した。コーンのほとんどは非常にデリケートで、機械のそばには割れたコーンが積み重なっている。
ジョイはつねに圧倒的なシェアを有していたわけではない。同社は1918年、ジョージの祖父アルバート・ジョージと義理の兄弟トーマス・J・トーマスという2人のレバノン系移民によって、オハイオ州ブルックフィールドで設立された。
1964年に工場で火災が発生し、倒産寸前にまで追い込まれたが、その年、ジョージの父親であるジョー・ジョージが後を継ぎ、独自のオーブンの製造と店頭でのコーン販売に注力した。そして5年も経たないうちに黒字化したのだ。
価格をつり上げることはないのか?
小規模なコーンメーカーは、時が経つにつれて操業コストの上昇に対処するのに苦労するようになる。その多くが過去数十年の間に廃業したり、ジョイに買収されたりしている。
3月にノベルティコーンをジョイに売却したロン・マリヌッチは、「会社を畳んだりジョイに売却したりすることは絶対にしたくなかった」と述べる。だが、同氏は60代後半で、誰も後を継ごうとしなかった。
マリヌッチはジョイについて、「非常にいい製品を作っている」と語る。しかし、ある事業を1社か2社が独占していると、価格をコントロールされてしまうという問題があると付け加える。
ジョージによると、ジョイの価格は過去10年間にコーン1個当たり数セント(数円)しか上がっておらず、インフレにほぼ追随している。コーンは安い贅沢品だとジョージは話す。「いつも必ずそうであるようにしたいと考えている」。
アイスクリーム店もそれを当てにしている。何人かのオーナーは、おもに信頼性とコストの面でジョイを選んでいると話す。
首都ワシントンでジョイのシュガーコーンを提供するアイスクリーム・ジュビリーの創業者、ビクトリア・ライは、「ジョイのコーンは普通で派手でないところが新鮮」と話す。同氏によると、サプライチェーンの問題で原材料の入手が難しくなる中、ジョイのコーンは安定的に供給されている。