今の時代に「専業主婦家庭」を目指す大きな難易度 親の世代を見て「当たり前」と思っては失敗する

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「別に結婚したくない」人が増えたから未婚率が上がったのだ、ということがよくいわれます。しかし実際、国立社会保障・人口問題研究所の大規模調査「第15回出生動向基本調査」の結果からは、18歳から34歳の未婚男女の結婚への意志は大きく変わっておらず、男女ともに結婚意志がある割合は9割弱という高い水準を維持していることがわかります。

ここで、もう1点、注意したいデータのとらえ方があります。人は年齢上昇とともに環境が変わり、考え方も変わりますので、若い頃は結婚意欲があったものの、中年期になると「やっぱりしなくていい」となる方も少なからずいます。

ですので、読者の周りのアラフォー男女が「別に結婚したくない」という意見が多いからといって、結婚したくない人が増えたから未婚化したのだ、とは一概にいえないのです。

その男女が統計上、結婚が最も成立しやすい適齢期(20代半ば)だった時に一体どう考えていたかに変化があるかどうか、が注目点となります。なぜなら適齢期を過ぎると当然ながら既婚者割合が高まり、「いい人が独身ではいない」ことから「それならもういい」となりやすくもあるからです。

「第15回出生動向基本調査」の結果でも、20歳前後の男女は未婚でいる理由として「まだ若すぎる」と回答する割合が5割近くを占めて一番多いのですが、30歳前後となると「適当な相手にめぐり合わない」という回答が大きく増えて5割となり、一番多い回答となります。統計的に言えば「人気がある(いい)方と結婚したい」男女ほど早い者勝ちになりますから、これは当然の結果といえるでしょう。

話は戻りますが、34歳までの未婚男女の回答データから、30年にわたり若い男女の結婚希望者の割合を見る限り、婚姻件数の激減をもたらすような意識の大きな変化はないことを指摘できます。つまり、若い男女に結婚の希望があっても、結婚というライフイベントが、かつてなく発生しにくい状態になっているのです。

年齢が高いほど多い「専業主婦家庭」希望者

さて今回は、結婚希望がない方はさておき、適齢期男女の大半を占める「結婚希望がある方」について、参考となるデータの考察をしてみたいと思います。

筆者は毎月、全国の自治体結婚支援センターや地域活性化に関わる団体の皆様との研究会を開催していますが、研究会の参加者(結婚支援事業者)から以下のような傾向についてよくうかがいます。

年齢層が高い男女ほど「専業主婦家庭」を希望する割合が高い、という指摘です。

そこで今回は、この専業主婦家庭を目指す(自分が専業主婦になる、あるいは妻に専業主婦になってもらう)婚活について、その難易度をデータで確認してみることにしましょう。

今回ご紹介するのは、国が所管する研究所である独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年公表している大規模調査の結果になります。

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