今の時代に「専業主婦家庭」を目指す大きな難易度 親の世代を見て「当たり前」と思っては失敗する
また、専業主婦世帯と共働き世帯がはじめてちょうど半分半分になったのは1991年のことです。その後、2000年までの10年間は専業主婦世帯49%・共働き世帯51%のあたりで、両者が1%程度の差で拮抗する時代が続きます。
その間に生まれた男女は、2022年現在、22歳から31歳となります。つまり今の20代については、両親が共働きか母親が専業主婦かは、子どもが幼少期に「どちらもあり」の環境下で育ってきているといえます。さらに、その成長過程において共働き世帯はどんどんと増えていく状況だったので、統計的にみて結婚を最も考える世代であるといえる20代の男女にとって、現在の7割が共働き世帯、という世帯状況は違和感なく、当然の環境要因として受け止められているだろうといえるでしょう。
以上から、専業主婦、共働き、どちらが良いと思うかは、婚活男女それぞれの自由なのは当然のことですが、自らが生まれた時代の当たり前や、見てきた両親の時代環境と今の時代環境では、年齢が上の方ほど状況はかなり異なってきている、ということに気がつかねばなりません。
共働きに寛容であることが婚活成功の近道
統計的に言うと7割が共働き世帯ですから、婚活をより楽にするのは、男女ともに「共働きに寛容な考え方」ということになります。
もっとも、婚活の現場の方たちからは「(婚活をしている本人の)親が本人の考え方にいろいろと影響を与えていて、決まるものも決まらない」といわれることがままあります。
先日、中部エリアのある結婚相談所の方から、こんな話を伺いました。
「このエリアでの成功とは、このエリアにある一流企業に就職し、地元の親をここに呼んで、両親とともに住む大きな家を建てること、という文化がまだ残っています。そういった考え方をベースに、結婚相手も決まらないうちから男性が二世帯住宅を建ててしまい、それが自分にとって有利であるかのように誤解して婚活をしてしまいます」
「家を建てられるくらいのご年齢ですから、ご自分よりかなり若い女性を、子どもが欲しいからという理由で希望されるのですが、今の若い女性にとって、相手の親との同居も、仕事を辞めてまで相手のエリアに転居する、という考え方も、いずれも馴染みません」
また西日本のある結婚相談所からは「アラフォーの女性が、専業主婦になりたいから高収入の男性をお願いします、と当然のようにおっしゃるのですが……。高収入の男性はそもそも稀有ですし、たとえいたとしてもご年齢的にとっくに既婚者です。そして当然、若い男性ほど専業主婦を希望されていません」との声がありました。
グラフからもわかるように、生まれた時代によって、その背中を見てきた両親の家庭内での姿も大きく変化してきているのです。さらには、受けてきた教育環境もまったく異なってきています。
筆者が大学に進学した1990年代は、まだ男性でも4年制大学進学率は4割を超えていませんでした。しかし2020年には、男性の57%、女性の51%が4年制大学に進学しており、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)などの有名大学では、リケジョ率も3割程度にまで上昇しています。
こうして高等教育を受けた女性たちに、家庭に入ることを前提にアプローチするのは現実的ではありませんし、また、同級生の女性が自分同様に高等教育を受けて進学している姿を見て育った今の20代の男性が「え?どうして僕だけが働く話になるの?」と考えるのも当然のことなのです。
いずれにしても、個人の好みはさておき、統計結果が示す結婚成立環境を無視したまま婚活姿勢を堅持した場合、苦戦するのはやむなし、といえるでしょう。
データから現実を読み解き、自分とは異なる価値観に対して寛容になることで、心の疲れが少しは取れるかもしれません。
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